（おそらく肉体関係を結んだのだと思うけど）ラストで何事もなかったのごとく仲直り。仲むつまじく街を歩く２人の前に登場する、お決まりのズタ袋を持って刺繍を始める女。針と糸で塞がれていく網目を見ながら恍惚とした表情を浮かべるオヤヂ。・・・確か針と糸と言えば『エル』。あっちが貞操帯ならこっちは処女への回帰か？つーかもはや安易なはけ口なんて望んでないんじゃねぇのか？己の欲望の抑圧状態が続いて、絶対あのオヤヂの嗜好は歪み始めてるとみた。しかもその肝心なクダリをわざとセリフ消すイヂワル振りが、なんともブニュエルでウレシクなってしまう。そう、説明されて安易にスッキリするより、欲求不満状態の方がかえって満たされていたりするのかも（笑）。

一見それほど変でもない物語も、ところどころで「オヤ？」って要素が用意されていて、その小さな「違和感」が絶えずツボを刺激してくる。車内の描写だって考えてみればかなりヘン。何でオマエらみんな知り合いなんだよ、とか、一人だけタバコ吸わなかった女が、イキナリ話が始まるとタバコ吸い始めたり、とか。そんな中でもテロの扱いがオモシロイ。さりげなくゆくてを阻むテロ集団（しかも集団の目的は不明ときた）。欲求不満のブルジョワを阻む反体制という構図から、またオモシロイ解釈の一つでもできそうだけど、それはまた今度ということで・・・。

(2002/10/19)