[コメント] 赤ちゃん泥棒(1987/米)
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ステディ・カム撮影を多用しているので、瞬間的にジェットコースターっぽいのだけど、「ジェットコースター・ムービー」ではない不思議。描写に妙なタメがあるせいか、テンポは軽快とは言えない。どころか、カントリーが流れる片田舎という背景も手伝って、かなりのどかな雰囲気もアリ。
ドタバタコメディなのだけれど、終始ナンセンスなようで実は所々にコーエン兄弟的なイジワルテイストもかなり散見されて(滑って踏めないブレーキとか青ペンキで視界が見えなくなった車のガラスを必死で拭うところ、等・・・)、一筋縄ではいかなかったりする。アメリカの片田舎の奇妙な人々ってのも、彼らの得意とするトコロ。
とても可愛い赤ちゃんが登場しつつも、赤ちゃんの見せ方が全然あざとくないトコロもまた、このテの題材にしては意外かもしれない。ほとんど手を焼かせないし終始ニコニコしているだけなのに、それでも散々勝手に振り回されるオトナたちが、とても可笑しい。
これだけ一筋縄ではいかない作りなだけに、さぞかし皮肉な展開が待っているのかと思いきや、何ともハートウォーミングな結末。しかも余韻たっぷり。こんなに彼らがイイ奴らだとは思いませんでした(笑)。
ラストシーンも取ってつけたように無責任なハッピーエンドではなく、あくまで「こうなってたらいいなぁ」みたいな夢を付け足して終わらせているところが、コーエン兄弟の優しさなんろうなぁ。先行き不安だろうがしがない現実だろうが、夢を描く権利は誰にだってある、ってな感じで。
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