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[コメント] ローラ殺人事件(1944/米)

疑心暗鬼が錯綜するプロットも面白いが、むしろ全体の構成の面白さが光る脚本。目の覚めるような効果はなくとも、背後に回って控えめ且つ的確に映像で読み解くようなプレミンジャーの演出振りも心地良い。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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構成の面白さ。型破りなヒロインの登場のさせ方もさることながら、これは「語り手が犯人である映画」としても記憶に留めておくべきかと。物語はライデッカーの名調子で幕を開け、ラストでその彼自身が銃弾に倒れることによって、はじめて観客は物語全体を覆う呪縛から開放される。そんな効果を狙っての構成なのだろうか。

ここでのジーン・ティアニーは、物語の進むにつれ、時々でその印象を変えていく。非常に面白い撮られ方をされているとは思う。が、個人的には、サスペンスの世界が彼女に相応しいのだろうか、という一抹の疑問は拭い去れない。『天国は待ってくれる』や『幽霊と未亡人』での彼女の、あの零れるような美しさに魅了され過ぎたから、なのだろうか。もしくは「女と肖像画」というキーワードで、無意識の内に『飾り窓の女』のジョーン・ベネットの鮮烈さと、比較してしまっているからかもしれない(比較するもんでもないけど)。ただ、冒頭を除いて終始顔が曖昧にしか覗えない肖像画の象徴性は秀逸。

(2007/1/6 再見)

(評価:★4)

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