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[コメント] ブラック・ダリア(2006/米=独)

こういう「フェイク」は面白い。少なくとも今まで観たデ・パルマ映画の中では一番好き。という奇特な少数派です。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えばセピア調。同監督の『アンタッチャブル』なんかでは、いかにも上っ面な懐古調パッケージの意味合いしかないけど、ここでのセピアは懐古調ということに加えて、現実を覆う「フェイク」としても機能している。全てが明らかになった上でのラストに至って、すでにそこには現実味の乏しいフィルターは払拭されていることで、一貫した意味を読み解くことはできないだろうか。要はこの監督の「まがいもの感」と、物語自体が持つ容易に現実の見えない「不信感」が上手く噛みあっていると思えたのだが。どこまで意図してるのかは分からないけど。

まあそれはさておき、個人的には『L.A.コンフィデンシャル』なんかよりも数倍ノワールな雰囲気が味わえた。この映画は暗闇を再現することに、ある程度成功していると思う。それは何も目に見える暗闇を画面に再現することだけではなく、もっと物語が本来持つ得体の知れない闇。表面上が作り物めいているだけに、その裏側の闇がより深く、得体の知れないものに感じられるのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)モノリス砥石[*]

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