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[コメント] 不屈の男 アンブロークン(2014/米)

本来は深刻な話だと思うのだが、時折挿入される『パールハーバー』的なシーンに、失笑が。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公・ザンペリーニの子供時代から、オリンピックに出場を経て、入隊、撃墜、漂流サバイバル。ここまでは映画の導入部。とくに漂流の部分はよく生きていられたもんだと思う。なかなか面白かった。

そこで日本軍に救助され、捕虜となってからの部分が問題だ。まず『パールハーバー』的なシーンが次々に出てきて、失笑の連続。そしていかに「捕虜として」の扱いが極悪だったか?を「渡辺」という男を通してずっと描き続ける。

大森収容所での捕虜に対する処遇が、どのくらい極悪だったのか?は判らない。物のない戦時中のこと、そりゃ食料とかは満足に食べられなかったんだろうと思う。でも、そんなもんじゃないのかな?なんて思ってしまう。ゴボウを食事に出したら、「木の根っこを食わされた」と言われるぐらいだし。だから「判らない」としか言えない。

だが「渡辺」という男を虐待の「記号」として置くことによって、きっと「イヤなやつ」だったんだろうとは思うが、わざわざギタリストをその役に据えることによって、なんというか「現実味」を感じない、言い換えれば、シンデレラを苛めるママ母のように、判りやすい「悪役」を作ることによって、映画も見るものを、シンデレラを応援するような気分にする。そして、そういう苦難を耐え抜いたザンペリーニを「不屈の男」だと英雄視する事で喜ぶ、実にアメリカ〜ンな映画。

日本人からみたら、それがなんだかピンとこないし、言われている「反日」とかではないにしても、虐待がどうとかより、「あぁ、アンジー、日本が嫌いなのね」って気にさせられる。大森から直江津への移動前に、空襲後の東京らしいシーンをちょっとだけ挿入しているが、日本側にも配慮してますよ!っていう言い訳めいたシーンに感じた。

まぁ、かなりそういう部分に批判的だ。同時期には、日系アメリカ人を隔離していたし、イラク戦争での捕虜の処遇が問題になってたし、だいたい人種差別の問題なんて、もっと後まで続いていたんだけど、とか思ってしまいました。ただ「そういう政治的な見方はしたくない」「映画として、楽しみたい!」と思って、点数付けは切り離した。それが3点だ。

MIYAVIの配役が、間違っているとか、正しいとかは判らないが、ちゃんとした「役者」の演技がみたいなとは思う。

(評価:★3)

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