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[コメント] 華麗なるギャツビー(2013/米)

ムーラン・ルージュ』の超ファンの私にとって、とても期待の一本だった。でも、なんだか、今年見た『アンナ・カレーニナ』と同じ印象。(「アンナ」のネタバレもあります)。デイジー・オーディション開催中!
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、ニックの独り語りで始まるところは、『ムーラン・ルージュ』に近い印象。はたしてどんな物語が繰り広げられるのかとワクワク。

そして思わせぶりたっぷりに、ギャツビーが登場。ボルテージは最高潮。そこからが問題。

ギャツビーが愛した女性を取り戻そうと、どんどん加速してゆき、加熱しすぎて、やがて破局を招く・・・というストーリー。それに「なんかヒネリが足りない」という印象を受けてしまった自分がここにいる。

実は、キーラ・ナイトレイ主演『アンナ・カレーニナ』を見たときに、同じ感覚を覚えた。こちらも原作が超有名なものの何度目かの映画化。夫のある裕福なアンナが激しい恋に落ち、そして破滅へと向かっていく悲劇・・・という話だが、「あーもう、なんだか、死ぬまでやってなさい、あんたたち」的な印象を受けた。その恋に何一つ「共感」できなかった。

今作も、純粋な動機のギャツビーだけど、そこに「共感」できなかった。「欲張りすぎ」というせりふがある。もう少し、うまく立ち回ればいいのに、なんでそこで、その選択を?、現実を見ていない、相手にも、周囲にも「感情」があるのを理解していない!ということへの「いらだち」を覚える。

もちろんこれは「原作」への感想かもしれない。「アンナ」も「ギャツビー」も、文学の名作であることに疑いはないが、21世紀を迎え、今の、いや今の自分にとっては「時代が違うのか?」と感じてしまっている。

でも映画『アンナ・カレーニナ』には「仕掛け」があった。映画であるのに、「舞台をみているかのよう」にセットや、場面がクルクルといれ変わり、「工夫された映画だ」という部分もあった。

で、今作。「ロミ+ジュリ」「ムーラン」のような仕掛けがいっぱいあるような、楽しい作品を期待してしまった。それは「オトナ帝国」「戦国大合戦」に感動して、期待した「ヤキニクロード」でガッカリしたのに近い。「期待しすぎた」。

実は、トビー・マグワイヤとディカプーの演技は見所あった!と思った。さすが旧友同士、息のあったところが見られた。それを受けるデイジーの見所が見つけられなかった。「命を懸けて5年も思い続けた女性」が「これ?」というような。

デイジーの台詞、「女は綺麗なバカがいい」と娘に言う。でも今は21世紀。女はAKB(愛嬌のある、賢い、美人)(いや、愛嬌のある賢いブスでもいい)がいいよ。

キャリー・マリガン、可愛らしいけど、いまいちこの映画では物足りない。誰ならよかったか、ちょっとマイ・オーディションをしてみた。

(1)キーラ・ナイトレイ ・・・当初、候補に挙がっていて、オーディションもしたらしい。実際、「アンナ」では「恋に狂う」役を熱演していた。

(2)アマンダ・セイフライド ・・・彼女も候補の一人だった。彼女なら「歌える」から、歌って踊る、インド映画のような「華麗なるギャツビー」ってのができたかも。

(3)スカーレット・ヨハンソン ・・・彼女も候補の一人だった。「魔性の女」を体現する彼女なら、デイジー役でも、あるいは「マートル役」でも物凄い存在感を発揮するだろう。

(4)ミッシェル・ロドリゲス ・・・武闘派デイジーの誕生。浮気夫をコテンパンにする恐妻デイジーってのをみてみたい。

(5)チャン・ツィイー ・・・チャイナタウンの名家の娘という設定で、国籍・人種を無視してワールドワイドな作品にしてみよう。この場合、夫のトムは「世界のナベアツ」で。

(6)ニコール・キッドマン ・・・ちょいと年上だが、「チーム・オーストラリア」大好き監督なら、デイジー→ニコール、さらには、ギャツビー→ヒュー・ジャックマン、トム→ラッセル・クロウで。『ムーラン・ルージュ』+『レ・ミゼラブル』のような作品に。それでこそ「豪華絢爛3D」が活きるんだけど。(おまけ、ニック→故ヒース・レジャー、マートル→ナオミ・ワッツの元カップル)

(7)米倉涼子 ・・・日本代表。この場合もトムは世界のナベアツで。いろんな衣装を着こなす役どころでは米倉、土屋アンナのモデル出身女優の一騎打ちとなったが、「CHICAGO」でブロードウェイデビューも果たした米倉の圧勝。(4)(5)以上に「強いデイジー」が期待できそう。

みなさんはどれがお好き?私は、「バズ・ラーマンが監督」である以上は、絶対に(6)が見てみたい。次点は(2)かな?

そういえば、劇中、ギャツビーが明らかに「裏の仕事」に行き詰まっているような感じだった。「電話」が鳴るたびに、「イヤ」な胸騒ぎがする。いずれそっちで「破滅」をしたんじゃないかとも思う。それが中途半端になってしまったのが残念だ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)うたかた[*] サイモン64[*]

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