小乗なるナウシカのパンツ

　「猪木だったら何をしてもいいのか？」全日に反旗を翻した長州力の名言である。されど映画においてはこうも言えよう。「美少女だったら何をしてもいいのか？」

　美少女を特撮やＣＧ、ロリキャラ萌えキャラ、犬猫子供に差別用語に過剰反応する自称被差別者に置き換えてもいい。かような媚薬を嗅がされて天下御免とばかりに強引なストーリー展開をされると、私は制作者の驕慢を感じる。 　「ドブネズミのように美しくなりたい。写真には写らない美しさがあるから」と唄った詩人がいたが、一連の宮崎駿のアニメにはけして美しいドブネズミは出てきやしない。全てが北朝鮮のプロパガンダ映画のような現実味の無い胡散臭い綺麗なだけのキャラクターばかりなのである。この嫌らしさはあだち充の漫画に通じる不快感だ。子供が観て萌えなのは分かる。されど、いいとしこいた大人が観て納得できる脚本だとは私は思えない。

　ゆえにナウシカを可愛らしいクララ（ハイジ）→クラリス（カリオストロ）系列の美少女としてではなく単なるそこらの犬っころキャラ（山田花子が適役）に脳内妄想変換してこの映画を見てみると恐るべき事実が明らかになる。ストーリーが破綻しまくっているのだ。

　私はナウシカの敵役となるトルメキアの方が好きだ。彼らは少なくとも全世界を救おうとする壮大な希望に満ちている。されどナウシカの自分のことだけ考えるあの身勝手さは一体何なのだ。腐海の謎を解いたのならば皆にこのことを知らせ、世界を救おうとか考えないのか？　トルメキアに自分のしている腐海研究を見せればいいだけのことではないか？　なぜ秘密にしているのか皆目不明。

　要は自分がお姫様として搾取しまくってノホホンと生きる風の谷の国だけ良ければどうでもいいエゴが偽らざる彼女の本音だろう。悲惨であろうトルメキアの普通の無辜なる市民についてこの映画は何も語りはしない。小乗なるかなナウシカ。

　老女の皺だらけの手をとり「綺麗な手」というシーンは酷すぎる。相手は歳とっても女ですぜ。村人は姫様は優しい人じゃと感激しているけど、それって文字通り苦労知らずで綺麗な手をもつ姫様ナウシカがいう台詞じゃないよ。それに感激する老婆の奴隷根性というか農民根性のマゾさ加減にゾッとする。せめて桃の花クリームくらいもってってやれやナウシカと思った。

　トルメキア軍の行動も謎ばかりだ。ナウシカ父を殺しておいて、ナウシカを生かせておくメリットって何？　ぶちキレたナウシカがトルメキア兵士を惨殺していくんだけれども実父殺され人何人も殺した後で平然としている彼女ＰＴＳＤ無縁の図太い根性っていったい。そして小娘に殺されるプロの兵士って・・・トルメキアって軍事訓練しているんですかねぇ。

　そんな人殺ししたことなどナウシカはすっかり忘れてストーリーは続いていきます。知り合いの某Ｖ氏の指摘ですが、ナウシカは前に何人も人を殺して慣れている説に私も同意見です。この図太さはただ者ではありません。

　ラストの電波かかった理解不能の展開も頭痛がしてきます。傷だらけの子供オームを群れの前に出して何故ナウシカだけが垂直に吹っ飛ばされるの？電車に飛び込み自殺するのと同じ具合なのに無傷だしねぇ。まぁ宮崎アニメは何か都合の良い触手に絡めて医療行為をするという、いや、もうこの話題はやめておこう。巨神兵も役立たずだしねぇ・・・口元のレーザーユニットだけ取り出して撃てよトルメキア軍。そして老婆の予言ですが・・・ああもう語るのも嫌になってきた。電波だ電波(゜;)/

　最後にナウシカのパンツについて書こう。とある親切な方から、あれはパンツ履いてないように見えるけど実はとの指摘を多数いただいた。肌色のズボンないしタイツを履いているとのことらしい。これは公開直後から言われ続けてきたことなのだが、かような注釈がつかねばならぬ点でこのアニメは異常に思える。少なくとも大多数の人はアレっ？っと思ったであろうシーンだ。乳の谷間見せて小動物を胸元に入れるシーンもある。まぁ水戸黄門で由美かおるに入浴シーンがあるようにサービスかも知れないが、私はそこにアニメ業界の抱えた負の部分を嗅ぎ取ってしまうのだ。