コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 千と千尋の神隠し(2001/日)

あのー、千尋の父母って結局食い逃げしてないすか(;−−)? あと、キチンとテレビ放映を見て映像がきれいだったので2点にしました。そしてレビュー書き直しました。
相田くひを

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







亡国の幼児幻想、千と千尋の神隠し

 一年ほど前、千と千尋の神隠しのフィルムブックを立ち読みし、あまりの馬鹿げたストーリー、破綻したプロットについて論じた。その後、静岡の某床屋でDVDの千と千尋を鑑賞し、ああ、くだらねぇアニメだなと思った。されど、いかんせん床屋である。シャンプーの時やひげ剃りの時は画面見ずに音だけだ。なので、先日(1/24)にテレビ放映された「千と千尋の神隠し」をきちんと鑑賞してみた。で、感想だ。

 こんな糞みてぇなプロット、穴だらけのプロットの映画を名作だ感動しただ曰う馬鹿の多さに悶絶だよ。それだけ、この国の幼児性も極まったということだろう。まったくもって納得しがたいストーリー展開に何度鼻白んだことか。

 まず、最初のシーン。アウディで山道をスピード上げて走る馬鹿父。この映画作った奴は野道を車で走ったことがない。そりゃ砂利しいてあってフカフカな道ならまだ話はわかるけど、あんな普通乗用車のサスペンションで土の凸凹道をスピード上げて走る馬鹿がどこにいる?事故るぞ。

 次に車の止まるシーン、行き止まりの所の真ん中に車止める世間への配慮がまるでない馬鹿な親ども。森の奥にあんな謎の建造物があるとしたら、誰か来るのではと端っこに止めるのが普通です。

 この時、千尋一家は引っ越し中のはずです。引っ越し屋さんは新しい家の鍵をもっているから大丈夫と千尋ママはいってましたが、タンスの位置は?テレビの置き場は? 机の向きは? 引っ越し屋は困りますね。要するにこの一家は人の迷惑よりか自分の好奇心を優先させる極めて利己的なファミリーです。

 そして、暗い道をどんどこ進む千尋一家、父親は壁を触り「モルタルだよ、テーマパークの残骸だ。」といいますが後の展開を見ますと、神様用につくったあの建造物がセメントで作っているんすか? 狭山あたりが舞台というが湯婆は秩父セメントから買ってんすか? っつーか、作者はモルタルと漆喰の違いをお前は本当に分かっているのかと小一時間モルタル=セメントと砂と水を混ぜて練ったもの

 でもって信じがたいのが、人様の店先に置いてある食い物を千尋の父母が食い始めるシーンね・・・。おいおい・・・監督曰く最初の千尋は我が侭で挨拶も出来ぬ現代っ子というが、この親見りゃガキの不作法も分かるわな。後で金払えばいいって、なら何を何個食ったかキチンと記録しておけや千尋父母。こいつら絶対に店主の姿現れなければ食い逃げしますよ。実際、ラストで食い逃げしてました。

 さて、それまで母親にひっついて帰ろうよとビクビクな千尋が、いきなりこんな不気味なところを1人で探索しはじめます??? なんで急に恐怖心が薄れたのか、さっぱり説明はありません。

 さてさて、千尋はそこでハクと名乗るヒカルの碁の塔屋アキラ風味、ジョジョにおけるブチャラッティ風味のガキに出会いますが・・何故かハクは千尋の身を案じ逃げろといいます。はて? ここは人間の来るところじゃない!っといいますが、なら、あんなアウディで用意に来られるようなトコに現実世界と通じるトンネルこさえてんじゃねーよ、おらぁ(゚ ;)/。なぜ、あの通路があるのか、説明は最後までされませんね。

 そして、極めて都合良く夕闇が迫ってきます。それまで夕暮れに近い描写など一つもありません。アウディ置いてきた描写では影は真下でしたから正午近くでしょう。(あ、だから赤いのか)

 で、ハクの手引きで窮地を脱するのですが・・・人間くさい人間くさいといいつつ、ハクに出会う前、千尋はあちこち歩き回っています。なぜ見つからないのですか? 湯屋に通じる橋のシーンで息を止めれば見つからないような設定がありますが、いざ湯屋に入ってしまえば千尋息し放題です。なんすか?この中途半端な設定は?

 そしてハクは千尋を連れて猛スピードで湯屋に入りますが・・・こんな不自然な行動+人間くさいのを引き連れて、何故騒ぎにならないのか?

 さて、千尋を匿ったハクは釜爺というボイラー2級技師ライクなおじさんのところに行って働かせて欲しいと頼めと千尋に教えます。でも・・・どう見ても釜爺さんって助手が必要じゃない仕事ですよ。なんであんな爺のとこに働かせてくれと千尋と行かせたのか? 最初っからハクが千尋を湯婆んトコへ行くエレベーターに乗っければいいだけのことじゃないすか・・・要するに釜爺というキャラ紹介のためだけに無駄な回り道をさせているんすよ。

 で、釜爺さんにお世話になった千尋が挨拶も無しに出ていこうとする時、たしなめられますが、まぁあの両親じゃ仕方ないでしょう。というか、こんな異様な手が6本も生えた妖怪相手に平常心でいるガキがいたとしたら、その方が怖いぞ。

 さてさて、もうこの作品は偶然だらけです。釜爺の所から湯婆んとこ行く時もリンが助けてくれたり大根の神様が庇ってくれたりでしたが、湯婆んとこでも子供が暴れ出して、そのドサクサに雇用契約が完了です。・・・はぁ・・・ずっと都合いいですね、千尋。

 で、めでたく?湯屋の労働者として雇われた千尋あらため千ですが、そもそも、ここで働いているガマもどき&人間もどきが何者なのか分からない。リンは人間のようだけど、千のことを人間くさい人間くさいというところをみるに人間ではないようだ。まぁ妖怪もののけの類ということでしょう。では何故人間の姿形なのか?

 翌朝、ハクの手引きで千は豚に変えられた両親を見に行きます。ルートは釜爺のボイラー室から外壁にそった階段を登るんですけど、先日千尋はこの手すりもない露天の階段下るのに心底ビビっていました。しかもハメ板の一枚は割れているはずです。一夜にして大丈夫になる図太い神経の千尋。

 しかし、豚に変えられた両親をみて意気消沈、やさしいハクの差し出した握り飯を頬張りながら泣き出す千尋・・・って悲しいが飯は食う。食いながら泣く、恐怖の階段は一夜で克服。図太いんだか繊細なんだか、まったく訳分からない性格設定です。

 ここでトンデモナイ会話があります。ハクは千尋に、そなたのことは前から知っていると言います。で、千尋は「え?それって何故?何時?何処?」と聞き返さないのですよ。不自然すぎます。この映画を作った人は人の心の機敏さをまったく分かってないとしか思えない、千尋はサイコパスですか?

 で、まあ千尋って奴は帰ってきたはいいが、自分の寝床に帰らずに、釜爺のボイラー室で寝ているんですよ。同僚のリンが心配するとか考えないのか?千尋?

 さてさて、更に都合はげしく良く物語りは進みます。お仕事初日にいきなり”大湯”という巨大&汚い風呂釜の清掃を千&リンは命じられます。お約束ですが、その大湯入りにトンデモなレゲェ客が来ます。くされ神とかいうそうですが・・・湯屋ではお引き取りくださいと入店拒否。って・・・この店は八百万の神々向けの湯屋だそうなんですが・・・営業姿勢がよく分かりません。やっぱ生尺ソープで仮性包茎が嫌われるようなものでしょうか? しかし!わしは仮性包茎人としていいたのだが(゚ ;)/きちんと洗ってからHはするぞ。自らの罪深さを知る故に人一倍気を使うのが大人の仮性包茎だ(゚ ;)/ その点、このくされ神とやらは近所の川でジャブジャブ洗ってからくる気遣いもないのか?

 うぐぐ・・・仮性包茎はどうでもいいんですが・・・で、このくされ神とやらは、まぁ種をあかせば川の神様でしてね、なんか不法投棄の自転車やらゴミでドブ川になっていたという設定らしいのですが・・・思わず私は思いましたね・・・キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !! エコロっ!

 で、そのドブ川の神が去った後には砂金がっ? ってドブ川に砂金???しかもあんな粒の大きな??? ちょっとまってくださいよ宮崎駿さん。確かに自然金が固まりで産出することはありますよ。でも、あんな全部同じ大きさで同じ丸みをおびている砂金ってなんすか?

 さて、このくされ神とやらが出てくる前後に、本作の大きなバイプレイヤーである「顔ナシ」くんも現れます。なんつーか、世の中の駄目人間共の孤独なハートをがっちりキャッチのどうしようもない社会不適応人格破綻者カオナシくんですが、いきなり番台の湯札万引きし、唯一優しく接してくれた千尋さんラブとばかりに湯屋内ストーキング、そして、おぢさんがいいものあげるよグヘヘへとばかりに千尋に貢ぐ・・・魂の援交ですか?こいつは・・・

 そして、例のくされ神の残していった金で湯婆はご満悦、って・・・ここの運営資金ってそもそも何処から出ているんだ? で、千尋よくやったということになってますけど、そもそもコイツって何もしてないんすよ。与えられた仕事をしているだけ。偶然くされ神の中に何か(自転車のハンドル)を”手探りで見つけ”手探りなのに、これを引っ張り出そうということになり・・・って何故分かる千尋&湯婆?

 リンは事も無げに「下からかっぱらって来た、千尋、食いな」と饅頭をさしだします。ってお前、盗んだもの人にすすめるなよ・・・で両親も無銭無断飲食に頑なに反対していたはずの千尋が盗品の饅頭を食ってます・・・なんすか?この設定って・・・。そして、湯婆はくされ神が残した金は全て出せと従業員に命じますが・・・千尋はくされ神(川の神)から貰った謎のアイテムを湯婆に見せようとなどしません。このあたりキャラの性格付けが非常にゴチャゴチャなんですね。

 さてさて、次の騒動は・・・まーた千尋絡みで「顔ナシ」くんです。金もってんぞオラーっっっっっっとジャパンマネーでチェンマイ豪遊。その騒ぎで従業員一同大わらわの間、なんと千尋はとても都合良く寝ているんすよ? なぜ? これも説明なし。

 そしてまたしても超偶然にハクの化けた竜が血まみれになって千尋の目の前に!湯婆の命をうけたハクが盗みにいった帰りだそうですが・・・応戦くらいしろや湯婆。

 で、まったく脈絡もないまま(電波?)千尋はあの竜がハクだと電波受信びびびです。部屋に招き入れ、匿います。で、あれほど竜を血まみれにした式神?が窓一枚閉めただけで攻撃を止めるという都合良さ・・・。

 ハクは瀕死の状態で湯屋最上階、湯婆の部屋に向かいます。って最初から行けよ・・・。

 で、何故か分かりませんが千尋は湯婆のところに行こうとします。あの川の神様から貰ったアイテムの丸薬がきっとハクに効くと思ったからでしょうが・・・でも何であの薬?が効くんすか? なぜ効くと確信もっているんすか? 皆目不明。

 職場放棄した千尋は同僚が働いている中、湯婆の部屋へと急ぎます。しかし、途中には人格破綻者でキレやすい神様、ボーダーライン神格障害とおぼしきカオナシがいます。金さえ払えば5歳幼女のすじまんこも手に入ると思っているトンデモナイ鬼畜です。しかし、金よりもハクの方が大事な千尋はカオナシの札束(金塊)攻撃にもひるむことなく、湯婆の元へ急ぎます。

 で簡単に湯婆の部屋に入っちゃうんだな。セキュリティ甘すぎ。っつーか設定甘過ぎ。窓から入るシーンも結局は超都合良い設定で内鍵開けるやつが出てくるんだけど・・・おいおい、ルパン3世じゃないんだからさ、ってガキ向けか、この映画は。

 そして、何故かこういう時に限って、初対面でエレベーター前からお見通しの湯婆の神通力は消えています。易々と愛する可愛い我が子の部屋に千尋が侵入してしまいます。で、湯婆に見つかりそうになった千尋は布団の中に潜り込んで難を逃れますが・・・湯婆って本当はたいしたことキャラなんじゃないすか?

 とにかく、千尋はハクの元にたどり着きます。ハクは瀕死の重傷・・・で、そこで登場するのが湯婆の妹だか姉の銭婆という唐突なキャラ。ハクは銭婆の家から魔女の契約印とやらを盗み出したそうなんすね。って・・・いきなり伏線もなく姉妹かい!

 で、この銭婆。かなり強烈なキャラで、次々と魔法をかけますが、たかが瀕死のハクのシッポがひょんと当たっただけで、居なくなってしまいます。っておい・・・なんなんだよこの設定は。

 で、ハクと千尋は都合良く開いていたダストシュートと思しき穴に落ちる落ちる落ちる・・・ってナンだよこの穴はぁぁぁ? まぁ漫画ですから大人げないツッコミはよしときますわ。

 そしてハク&千尋は都合良く釜爺の所に落っこちます。そして、千尋があの謎アイテムの丸薬を食わせるとアラ不思議? 例の魔女の契約印とやらと、湯婆がハクを操ろうとして仕組んだ謎の虫が腹から出てきます。さて・・・湯婆は銭婆のこのハンコが欲しかったんでしょ?なら、瀕死のハクの腹かっさばいて、ハンコ取り出せば良かっただけじゃないすか・・・どうなってんすか。この物語?

 というか、なぜ都合良く、ハンコと虫が出てくる??? これも川の神様のくれた丸薬のお陰ですかねぇ・・・なんか凄い都合のいい設定だな。で、千尋は銭婆の元にハンコ返しに行く謝りに行くといってますが・・・ハンコ返せばハクは治るのか?なぜそういう確信に満ちた行動がとれるんだ千尋?っつーか、お前たんなる一従業員なのに、なぜ勤務時間中にそんな自由行動がとれるんだ? 油屋の就労体系は疑問だらけです。

 そこで思い出してください。たしかハンコには銭婆の呪いがかけられている筈なんですが千尋にはなんの害も与えません? 飲んでなくて手に持っているだけだからですか? そういうもんなんすか呪いって? だってハンコですぜ? 誰が食います?飲みます? 手で持ってor身近に携帯して逃げるに決まっているじゃないすか。甚だ中途半端な呪いの魔法としか思えません。

 次におこるカオナシと千尋の追跡シーンもまったく合点がいきません。最初は死にものぐるいでカオナシは追いかけます。でも最後になると追いかけません。このあたりも説明がまったくされていません。佐渡名物のたらい船で逃げても追いつかれないんですぜ・・・。どうなってんのこの脚本?

 そしてノスタルジーな列車が来て、何故か千尋&カオナシは仲良く電車にのって・・・って、あのなぁ・・・ナンだったんだよ今までの馬鹿騒ぎは?カオナシ。家庭内暴力で部屋の壁蹴破るヒキコモリの内弁慶と同じだよあんた。

 千尋&カオナシ御一行はめでたく銭婆の家にたどり着きました。で、ごめんなさいと。そしてハクが治るかといえば、別に銭婆なんてなんの関係もなく治っているんですね。っつーかこの物語における銭婆の存在って・・・何?  そしてカオナシは編み物はじめちゃうし・・・はぁ・・・

 でもって、ちゃんとハクが竜になってお出迎えに来てくれます。素晴らしく都合のよい展開ですね。そもそもハクって湯婆の手先だったんじゃ? あ、例の虫を踏み殺したから自由になったのか

 そして・・・ぼうや〜よい子だねんねしな〜のBGM(幻聴)とともに千尋はハクにまたがり宙を飛んでいると・・・いきなり過去の記憶がフラッシュバック! なんとハクは千尋が幼い頃川に落ちた時助けてくれた川の神様だったのです・・・って、おいこら宮崎駿、なんなんだよこの設定は(゚ ;)/ いいかぁ、なんでその落ちた川の精だか神様が超偶然都合良く千尋が迷い込んだパラレルワールドで丁稚頭となって働いているんだぁぁぁぁぁぁ?

 その川の名前はシラコ川・・・と千尋が囁いた瞬間、ハクにかけられていた魔法は解け元の姿に・・・って、お前あの虫踏みつぶした時点で戻ってたんじゃないのか?

 ふと気付けば、この時点で原稿用紙18枚くらいいってますが・・・更に承服しがたい馬鹿げたプロットは最後の豚探しのシーンだ。なぁ・・・なぜ千尋は両親の豚を見分けることが出来るようになったんだ? これってオカルトじゃねーか。(というかこの物語全体が極めて都合の良い解釈に満ちあふれたガキのプロット)

 そして、めでたく両親は人間の姿に戻り元の世界へと・・・ってやっぱりこの両親は食い物の代金払っていません。

 はっきりいう。これは子供向けの映画であり、大人の鑑賞に耐えうるものではない。私論では子供向けだからこそ大人も納得出来る良質なプロットをシメさねばならないと思うが、もはやこの国においては、そういう綿密さよりも、いかに自分に都合の良い解釈で物事を推しはかるのかといった極めて利己的な自分語りのストーリーこそが好まれている。

 確かに映像的な美しさは素晴らしいものがある。でもそれだけだ。童話のプロットには破綻したものが少なくない。ゆえに子供向けのこの作品に整合性のあるプロットを要求することは酷なことかもしれない。しかしながら、童話のプロット破綻は世界観のズレといいうか、全体的なズレでナンセンスなのに対し、千と千尋のプロット破綻は子細な状景や会話といった点のズレだ。ゆえに私はこの作品が童話としても優れたものとはとても思えない。

 この映画の作者はわがままな千尋の人間としての成長が云々いっているが、あの主人公の少女は、そこいらにいる、ごく当たり前のガキだ。転校嫌がる我が侭な娘という解釈があるが、友人と離ればなれになる転校など私も厭です。でもそれって我が侭なんですかね?  挨拶が出来ない千尋という意見もあるが、仮にそうだとしたら推定小学校3年か4年のガキは今までどう社会に適応して生きてきたのか? どうみても軋轢が生じるだろう。つまり作者の思い描く少女の成長憚としても、まったくなってない。むしろ、そんな当たり前のことを成長憚という作者の傲慢さに呆れ果てる。

 私がこの作品で心底厭な気持ちになるのは、こういう一見反論しにくい幼児幻想の中にどっぷり浸かり、いい歳こいた大人が名作だ傑作だ曰うことだ。そこには大人としての覚悟のヘッタクレもない。店先の食い物を黙って食い、盗んだ饅頭を食べ、客から貰った物を隠し持ち、けして他の人間が豚に変えられているのではなどと家族以外の人間に配慮することもない。この厭らしさは北朝鮮の拉致問題にも通じる腐れだ。

 また中国だか日本だか朝鮮だかポリネシアだか分からない謎の文化も気にかかる点だ。存命中に自分のワールドを美術館にするような御大ゆえに、八百万の神々の中に水木しげるの影響など微塵にも感じさない全てが宮崎ワールド。当然古典の妖怪奇譚もない、全てが丸っこく可愛らしいmade in 宮崎駿ワールド・・・。全部可愛い・・・幼児幻想。お子さまや海外でしたら背景がありませんので大好評でしょうが、古くさい私からみればリュック・ベッソンが描く中国だか日本だかわからない妙なオリエンタルとしか思えない。そしてこんなものが日本の文化だと誤解されるのを恐れる。

 私には千と千尋の神隠しのヒットはこの国の無思想無哲学、幼児性を具現化したものとしか思えない。もはや日本の文化はここまで幼児化してしまったのだ。

2003/01/25 相田くひを

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ペンクロフ 新町 華終 寝耳ミミズ おーい粗茶[*] Cadetsファン改めジンガリーLove[*] ツナ缶[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。