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[コメント] 宇宙戦争(2005/米)

「家族を守る」ということの正当性を問うているのか?
パッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「家族を守る」。それは、だれもが最優先すべきと考えること。

映画は、危機に直面した時、一人の家族を守るのさえ精一杯なんだと、徹底的に見せつけながら、親としてあなたはどうするのかと問い続ける。

__子どもの一人が外に、一人が家の中にいたら?

__友人をふりほどいてでも車を出すの?

__幼い子どもが錯乱状態になったら?

__家族が車に取り残されたら?

__友人を置き去りにフェリーが出航したら?人が落ちそうなら?

__息子を戦場に行かせるの?その時、幼い娘がさらわれそうなら?

__ティム・ロビンスをどうする?

__娘がとてつもない強力なモノに連れ去られたら?

‥‥

こんな時、自分は家族を守るために、とっさにどう動くのかと自問しながら観ると、めちゃめちゃしんどい。とことん打ちのめされる。あたかも大災害に備えて、家族を守る気持ちをシミュレーションしているようだ。

レイは、そうした試練を切り抜けながら鍛えられ、家族への愛情を鮮明にしていきながらも、家族を守ることに視野を狭め、ある面では理性を狂わせていくのです。でも、皮肉にもレイがトライポッドの中に吸い込まれようとした時、助かったのはみんなの力でした。

さらに、父親としてロビーを止められなかったにもかかわらず、ロビーは自分の意志で動いても生還しているのです。そしてラストシーンにレイの孤独感が伝わってきます。

恐怖の極限において、理性が狂い、究極の選択において間違いも起こりうるのです。一方でどのような選択をしても結果はわからないよと言っているようでもあります。 ならば、人としての尊厳を、優しさを、思いやりを失わずにいたいとの願いが込められていると感じました。

(評価:★4)

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