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[コメント] SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010/日)

観る側によって各人にそれぞれの思い入れを描かせるヤマト像。原作をなぞってほしかったり、新たな解釈で行ってほしかったり。その匙加減は難しく、戦艦大和の作戦を地で行く負け戦。溜めも余韻も無い演出とキムタクを演じるキムタク。
chilidog

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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VFXは、よくぞ動かしてくれたという感じ。もっとチャチなデキを想像していただけに満足です。いや敬意を表したいくらい。ただし限界だったのか、もう数パターン、ヤマトの動く絵を入れて欲しかったと思う。70年代のアニメ制作環境に敬意を表しての事かと勘違いしそうなくらい、使い回しのようなカットが目につき萎えてしまう。

そして宇宙戦艦ヤマトの特徴であり魅力である2大「飛び道具」ー波動砲とワープの扱いがぞんざいにすぎるのが興を削ぐ。それらは人類の切り札であり、かつこの世界をも歪ませてしまう凶(狂)器にもなるもののはずであった。しかしながらこの作品ではまるでその重みがまったくない。メイサの裸がないから怒っているのではないしw、浮遊大陸がないから怒っているのでもない。そのシーンの演出には「溜め」と「余韻」の欠片もなく、前戯がないうえ早漏のようだ。印籠を8:05に出しちゃいかんでしょ、ETCみたいに使っちゃいかんでしょ、ってことです。

観る側によって各人にそれぞれの思い入れを描かせる70年代の(打ち切られた)トンデモSF活劇をよくぞまとめたとは思う。いちいちハッタリにツッコむのもアリだし、静観するのもアリだと思う。カッコいいと思った事さえなかったコスモタイガーはコスモゼロより「カッコよかった」し、21世紀解釈のアナライザーやエスプリの欠片も無いデスラー総統も「こう来たか!(ニヤニヤ)」のレベルだ。島や加藤や斉藤、真田さんや徳川さんも「ちょっと違うけど、キャラそのものだ」とワクワクした。佐渡先生や森雪ら女性クルーの多さや設定の変更も「時代の違い」だ。しかしーキムタクはキムタクでしかない。「断じて古代ではない(富山敬 の声で)」。彼は同世代として、嬉々として『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の古代君を演じているようだった(それだけが救いだ)が、そこにいたのは月9の木村クンだ。それも一々キムタクなのだ。むしろ「月曜ドラマランド」の香りさえ漂わすほどの(年代的に出てないけど)。

ツッコむネタは数浮かびましたが、とりあえず以下だけ。狭くない営巣とセット然の床だけはなんとかしてほしいと思いました。あと、(ラストで)もっと思い出してやれよ古代。

(評価:★3)

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