「靖国で会おう」随所に挟み込まれる特攻隊員達の言葉に対し、映画では行き残りの兵士とおばさんの前に「蛍」として蘇った青年達の描写で答えを出した。ここまで何度もセリフで登場した「靖国（神社）」のテロップはなく、いち桜並木として描かれている。方々に配慮した策なのか。え、靖国に行かなくても来てくれるの？ガチガチの石原慎太郎をして”そこに私はいません"と歌う『千の風に〜』以上の衝撃である（初稿から紆余曲折してこの映画になったと聞くが…）。

おばさん岸惠子、いい芝居をしていると思う。彼女を常に中心に描いていればもっと深みのある映画になったと思うのだが、いかんせん多くのエピソードを盛り込むということに重点が置かれ過ぎていて（しかも入れ替わり立ち替わり挿入されるので）散漫になってしまった。というか、おばさんはいくつの設定なんだろうか？戦争時代と戦後は別の人がやっても、との印象大。徳重聡 の老け役は言うに及ばず。B'zのエンディングテーマもろとも安っぽくなってしまった。

石原慎太郎にして曖昧な落としどころ。井筒監督でなくとも突っ込むっちゅ〜ねん。

追伸：説明として挟み込まれるテロップで「大阪空襲」の一カ所だけが出し方を扇情的に変えていた。何の意味も見いだせない。