基本殴る蹴るの暴行を加えた後、使い勝手の悪い必殺技発動とか、「それ街守ってるの？」的な戦闘時の都市破壊率とか、フロントガラス（？）がハニカム構造とか、そういうところは好き。そういう、バタ臭さの内包こそがクールジャパンの真髄だと個人的には思うから。（クールジャパン映画ですよね？）

ただ、この作品に足りないと思うのは、「引き」の美学だと思う。怪獣もイェーガーも、ほとんどバストアップか近距離からのアオリで、バトルシーンではそのままのスケール感で激しく動くもんだから、確かに迫力が出るってか目ぇチカチカするんだけど、全体をダークブルーで塗り込んで細部をごまかしちゃってるんじゃないのかという気もしてしまうのだ。

カメラをぐっと引いて、怪獣とイェーガーの対峙を遠景で捉えるショット、もっと欲しかったなあ。夕日を背負って立つメトロン星人のような、どこかユーモラスで、それでいて荘厳な「カイジュウ」を、カメラを引いて見せる勇気が欲しかった。

それにしても、イェーガー（ドイツ）に怪獣（日本）、ロシア人が作戦のキーとなる爆薬用意して、拠点は香港（中国）…と、ここまでアメリカの歴代の敵国（仮想敵国含む）が物語のアイコンとして登場するのは偶然じゃないよね？やっぱり。