[コメント] ハウルの動く城(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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♪ふ〜たり〜のため〜、せ〜かいはあるの〜
この話の流れでは、「少女の恋(愛じゃないだろ)が成就して、彼女と彼氏とそのシンパ(家族じゃないだろ)だけが幸せになる」ためだけに戦争が勃発したのかと思われても仕方がない気がする。ただそれだけのためにこんがり焼かれた町や逃げ惑う「その他大勢」の人々が不憫だ。その証拠に、「けなげで頑張りやさん」の少女の恋さえ成就すれば、それこそ魔法のように戦争は終わる。悪役も「じゃあこのばかげた戦争を終わらせましょう」といきなり分別を見せる(何が「じゃあ」なんだか)。まったくばかげた戦争だ。犠牲になった「その他大勢」はやりきれないだろうなあ。なんつってもカントク世界にいる限り、彼らは絶対「ハウル(つーか少女)の恋する箱舟」に乗せてはもらえないのだから。
カントクの箱舟趣味は今に始まったことではないが(むしろ既に信念?宗教?の域まで達しているが)、回を重ねるごとにそのやり口が強引で勝手になっていくようだ。多分長年自分世界を表現し続けるうちに、カントクにとっては観客も「箱舟に乗るに値しない」存在になってしまったんだろうな。
今回個人的には絵的に目を見張るようなところが全然なかったために、カントクのオープン・ザ・コート、趣味の「モロ出し!」「モロ出し!」「モロ出し!」連続技はかなりキツかった(千切れるおさげ、風に舞うスカートの下の西洋ステテコ、巨大ナミダ<カントクの世界に「忍び泣き」は存在しない、必ず緩く握ったコブシを肩まで持ち上げ手のひらを外側に向けて走る「乙女走り」の妙技、そしてやっぱり最後は城に木が生えてるし(笑)以下延々…)。そう考えるとわたしにとって『千と千尋の神隠し』の良さって「和のカラクリと小物使いの面白さ」だけだったってことか?という気がしてきて意味もなくヘコむなあ。
♪ハヤオの城はどっこへ行っくっ、ぼくらを置き去りにしてどっこへ行っくっう〜ううう〜ううう〜?
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