無人島でこの上ない孤独な生活を味わった主人公が、やっと以前いた場所に戻れた。普通ならここでクライマックスを迎え、映画はハッピーエンドに終わる。

しかし、この映画は違った。戻れたからといってそこに以前と同じ幸せが待っているわけではなかったのだ。これは評価すべき点なのだろうが、肝心のこの最後の部分を、少し早足で描きすぎた気がする。私は、できれば戻ってきてからの主人公をもっとじっくり見たかった。

無人島でのトムの頑張りがものすごく面白かったのは事実。でも、その様子にこんなに時間を割くなら、やっぱり最後はあっさりハッピーエンドで終わったほうが良かったと思う。これでは、一番重要であるはずの戻ってからの様子が、あまりに印象に残らない。

特に、発見された直後、「○週間後」（詳しい数字は忘れた）と表示され、背広を着た彼が映し出されたのには心底がっかりした。発見後、どうやってこの事態を説明し、人々の協力を得て、背広を着るまでに至ったのか、私が１番見たかったのはその場面なのに。

「無人島の生活」に焦点を当てたハッピーエンドにするか、「戻ってからの生活」に焦点を当てた（希望ある）アンハッピーエンドにするか、どっちかにするべきだったと思う。