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[コメント] ちはやふる -結び-(2017/日)

これはもはや漫画「ちはやふる」の実写化ではない。漫画のキャラクターたちが映画という舞台を借りて繰り広げる青春巨編である。確実に、原作を超える瞬間があった。こんなこと言うのは初めてだが・・・本作が好きな人は、原作を読まないでください!(原作のネタバレ含む→)
カルヤ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作とは話の流れが全然違う。しかし、それで構わない。何故なら本作が、原作でこうあってほしかったという流れになっているからだ。つまり・・・

太一いぃぃ〜!!!!間に合ったな〜!!!!

そうなんだよ!!みんな太一に最後の全国大会に出てほしかったんだよ!!原作はどうしても「ちはやのクイーン戦への挑戦(と名人戦の動向)」へ向かっていくので、太一が全国大会に出ないのも、不憫の他にも色々こじらせた結果ますます不憫なのも仕方ないが、本当はこんな太一が見たかったんだよー!!

この太一が主役かとも思える、原作とは大きく違うこの脚本、原作ファンだが、前作・前々作ファンでもある私は大歓迎だ。

原作は、すべての登場人物に愛情が注がれていて、40巻に近づいてもなお高い熱量が持続している。もちろんそれで面白いのだが、正直最近ちょっと辛い。とっとと千早がクイーン戦で詩暢ちゃんに挑戦してくれたら良いのに、と思う。ただ、原作は千早と新、二大かるたバカを中心としたスポ根物語なので仕方ない(なんだかんだ言っても最後まで付き合うつもりだし)。

しかし本作には登場人物たちの多種多様なかるた愛を伝えている時間はない。よって、本作の主題は「競技かるた」ではなく、「競技かるたにかける高校生たちの青春」となり、不憫でおなじみの太一が大きく成長する物語となった。大正解だ!!

細かい不満もなくはないが、この大胆な変更、こんなアプローチもあるのかと感動し、☆5に決定!!本当に、終盤の盛り上げ方は見事だった。

太一の物語になった分、新の出番が少なかったことは少し残念だったが(新のいや〜なかるたを見てみたかったが)、これぐらいでちょうど良かったかもしれない。新は更に強くなろうとするだけで千早や太一に影響を与えており、それが天才新らしかった。

そして本シリーズは相変わらずキャスティングが百点満点だ。新キャストも、オリジナルキャラを含めすべて良い(伊勢先生最高!)。周防名人は正直「賀来賢人・・・?」と思っていたが、もう途中から「賀来賢人ぉー!!!!」だった。原作の周防名人もあれぐらい活躍しても・・・いやそれはウザいか。

かなちゃんと肉まんくんと机くんと原田先生と女帝の安定感も素晴らしいし、詩暢ちゃんと須藤さんとヒョロくんは、画面に現れると彼らが主役になる存在感がある(私がこの3人を異常に好きなだけかもしれないが)。

加えて、笑わせる部分がちゃんと面白く撮られている点も重要だ。最近コメディーシーンがスベり気味な映画やドラマによく出会うのだが、本作は全部決まっている。みんな上手い。特に周防名人が面白いシーンは全部面白い。賀来賢人ぉー!!!!だ。

最後に。私は好きな漫画原作の映画のコメントは大抵「原作読んでください!」で締めくくるのだが、今回は違う。

少年漫画的な部活スポ根ものが好きな方のみ、原作読んでください!映画で太一ファンになった方は、むしろ読まないほうが良いです!(ますます不憫な太一を見たいドSな方はむしろどうぞ!)

(評価:★5)

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