[コメント] ミッドナイト・ラン(1988/米)
中年男同士の友情は悲しく、滑稽で、たまらなくかっこいい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ふと思った。ジャック(デ・ニーロ)はもし、あの依頼主がダブルブッキングをするなどというルール違反をしなかったら、やっぱりデューク(チャールズ・グローディン)を警察に引き渡していたんだろうか。
引き渡していたんだろうな。彼はプロだ。たとえ自分の仕事がモンキービジネスだとわかっていても、感傷だけで依頼主を裏切るようなまねはしないだろう。依頼主が彼を一流のプロとして扱わなかったからこそ、彼はプロとして振舞うのを最後の最後でやめることができた。ジャックとデュークの間に芽生えた友情は、打算やプライド、依頼主への憤怒が入り混じった複雑なもので、決して純粋なものじゃない。
でも、だからこそ、この作品は感動的なのだ。もういい大人の私たちは、良くも悪くも世界というものの姿をある程度知ってしまった。『スタンド・バイ・ミー』のような無垢で純粋な友情を育むには年をとりすぎてしまった。でも打算や、失望や、怒りを乗り越えた先に、ほんのちょっとでも分かり合うことができるのだとしたら、この世界もそう捨てたもんじゃないと思えるかもしれない。そうご大層なものでなくていいの。ほんのちょっと、たとえば空港のロビーで、別れ際に握手してこころから「来世で会おう。」と言うことができたら・・・。
人生の意味なんて、そんな些細なことなのかもしれないと思う。ああ、あんな中年になりたいなあ。
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