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[コメント] 昼下りの情事(1957/米)

この映画は「昼下がりの恋」ではない。「昼下がりの情事」だ。 「恋」と「情事」ではだいぶ印象が違う。
ina

私の中でこの「昼下がりの情事」は最高傑作のひとつだった。浪人時代に観てヨーロッパへの憧れとモノクロから匂う名作に酔っていた。

あれから10年、結婚もして仕事もして私は「オトナ」になった。好きな映画はやはり好きな人と観たい。ワクワクしながら10年ぶりにビデオでこの作品を観た。

「?」

何か違う。あんなに良かったのに。あの10年前の感動はよみがえってこなかった。私には本当にショックだった。この作品が普通の映画だったら時代と自分が年をとったという理由でかたずけられる。しかしあの「昼下がりの情事」だ。

まず気になったところはヘップバーンが輝いていなかった。あの変な髪形が理由ではない。「ヘップバーンがSEXをしている」というのが私にはショックだった。 10年前「昼下がりの情事」という題名を見て変な題名だなと思った。全然エッチなシーンがないじゃないかと思いました。現代は「LOVE IN THE AFTERNOON」「午後の愛」「昼間の恋」「昼下がりの恋」でいいじゃないかと思っていました。まだ20歳の自分にはヘップバーンのイメージと自分の若さでわかりませんでした。

しかしやはり私の中ではヘップバーンは「処女」のイメージがあります。その処女性が彼女を輝かしていると思います。確かに映画の中ではクーパーを振り向かせるためにたくさん男がいると嘘をつきますがひとりの男に一途な女性です。しかし彼女は「処女」ではありません。

映画の中でロマンチックなキスシーンの後、彼女が洗面所で髪をクシでとくシーンがあります。クーパーもちゃんとスーツを着ていてヘップバーンも別に服が乱れている訳ではありません。この何でもないシーンですが乱れた髪をもとに戻していると言う事が「情事」の後と想像させます。次にヘップバーンが片一方の靴を探すシーンです。外国の方は人前ではあまり靴を脱ぎません。「靴を脱ぐ」という行為も「情事」があったと思います。

この映画の邦約の題名をつけた人も「SEX」を感じて「昼下がりの情事」としたのではないでしょうか。

「ヘップバーンがSEXをしている。」この映画で何か違和感があるのはそれではないでしょうか。

男は本当にくだらないものでなぜか女性に「処女性」を求めてしまう。映画の中のクーパーもそうだ。私もそうです。 その処女性をもつヘップバーンのイメージが壊れてしまった。それがこの映画を再見してみて思った正直な感想です。 たぶん女性にはくだらない事でしょう。

私の中でヘップバーンのイメージは壊れてしまったが、楽隊の「魅惑のワルツ」だけは10年たっても変わらず素敵なものでした。

(評価:★3)

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