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[コメント] 第七天国(1927/米)

これこそ清貧の思想…と思わせて、実は結構アメリカン・ドリームが潜んでたりする。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 サイレント時代の名作と呼ばれる一本。特に日本では本作の熱烈なファンが多くいて、日本映画にも多大な影響を与えた作品とされる。

 確かに、貧しい中にあっても心清く、二人なら耐えていける!と言った内容は戦前の邦画には特徴的な作品だが、そのルーツはこんなところにあったのか。と思わせる内容でもある。今の目から見ると、まるで子ども用の紙芝居のような内容だが、それでも演出力と、悲恋に終わらせる一連の流れは確かに感情を揺り動かされるものもある。

 ただ、本作の根底に流れるのは、清貧の思想というよりも、アメリカン・ドリーム的なところもあって、多分日本ではその上澄みの部分だけをすくい取って受け取ったのかもしれない、という気にもさせられる。

 この当時のハリウッドのテーマは、あまり下卑たものを出さないのが特徴で、本作も出てくるキャラが貧乏でも夢を持った人物ばかり。そこに作品の弱さも見られるのだが、そのぎりぎりのところで、なんとかリアルさにも挑戦しようとする監督の意志も垣間見られる。更にここには明確な反戦の主張もみられており、この時代にあってはかなり野心的な作品とも言える。

(評価:★3)

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