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[コメント] セーラー服と機関銃(1981/日)

一番感受性の影響を受ける年代に、本作を見てしまったお陰でこの国の映画に絶望してしまった。本当に勿体ない話だった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 赤川次郎の人気小説の映画化作品。出来そのものは並以下…と言うより「ふざけんな!」としか思えないのだが、当時は数々の名台詞(特に「カ・イ・カ・ン」は当時ものすごく流行った)や、それまで子役として有名だった薬師丸ひろ子が大人っぽい演技を見せているのが話題になった。セーラー服がフェティシズム溢れるアイテムと化したのも本作の影響が多分にあるのではないかと思ってる。

 だけど私にとって、この作品は徹底的に合わなかった。テレビでさえ、全編観るのに多分の忍耐を要したほど。

 私は特に80年代の邦画が実は一番嫌いだった。基本的にアイドル映画が嫌いだが、本作はその最たるもの。へぼい演技や臭い台詞。思わせぶりな性的描写など、蟻走感が背中を走り続けた。身体がざわざわしてきてしまって正視に耐えない…それで観てるんだから世話無いが、私にとって、これを観たのは忍耐力を試されていた。

 それ以前に、私にとっては「なんで?」の意識が大きい。この映画、長らく邦画興行成績のベスト2を不動のものにしていたんだが(ちなみにトップはこの2年後に公開された『南極物語』(1983)。『もののけ姫』(1997)が登場するまで、10年以上にわたって2位は揺るがず)、こんな嫌いな映画がそれだけ受けたと言う事実そのものが受け入れがたかった。それで、長らく私は「私の映画を観る目が悪いんじゃない。邦画そのものが悪いんだ!」と断定し、邦画から離れていった。

 こんな映画を作ってくれた角川には未だに恨みを抱いている。今になってみると、秀作も多いことが分かっているので、この年代の邦画が観られなかったことをむしろ悲しんでる。今になってかえって恨みが増してるな。

(評価:★1)

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