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[コメント] ダーティファイター(1978/米)

おそらくはこれが役者としてのイーストウッドの集大成。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 役者としてのイーストウッドは大変面白い存在だ。本人の指向はどうあれ、西部時代から連綿と続く理想的なアメリカ人を演じさせられてきた。

 それはつまりジョン・ウェイン的な役割を期待されてきたと言う事。とても簡単に言えば、マッチョでホモソーシャル的にはリーダータイプ。一方女性に対しては弱くフェミニスト。洗練されない野暮な田舎者という姿が求められた。そしてイーストウッド自身もそれを受け、そんなキャラを演じていた。

 だけど、イーストウッドはそんな役者としての人生には満足してなかったようだ。おそらくは自身の監督作品で作りたいものを作るために敢えてそんな役割を演じてきたのだと思われる。

 そんなイーストウッドも良い年齢になり、そろそろ監督業に本腰を入れようという気分で本作は作られたのではないかと思われる。

 まさにここでのファイロ役は、典型的な理想的アメリカ人で、恐らくはイーストウッド自身も自信のキャラの集大成のような気持ちで臨んだだろう。

 そして事実見事なはまりっぷりを見せる。最初から最後まで、しっかりと昔の西部劇っぽさを残した好作に仕上がっていた。

 ストリートファイターが主人公と言う事でアクションもふんだんにあるが、それより不器用すぎる男の純情が伝わってきて、なんともほっこりした気分にさせられるものだ。

 あと、オランウータンのクライドの存在感が上手い。コメディ部分にもシリアス部分にもしっかりはまり、違和感なく画面に溶け込んでいるし、かなり芸達者ぶりを見せているので、見ていてとても楽しい。

(評価:★4)

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