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[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル(2000/日)

マイノリティ・リポート』のキャッチ・コピーは、この作品にこそふさわしい。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 だって、「尻だけ歩き」の集団が迫ってきたら…「誰でも逃げる」よ。

−−−−−−−−−−−−−−−−閑話休題−−−−−−−−−−−−−−−−

 先日『モーレツ!大人帝国の逆襲』を観たお陰で偏見無しに観る事が出来た。これはその前作に当たるのだが、質はやっぱり高い。冒険活劇としての質が意外に(失礼)高い上に、ちゃんと笑いを取るのも忘れておらず、正直圧倒されてしまった。

 アニメというのは現実離れしたストーリーにどう説得力を持たせるかにかかるが、それを放棄しているようで、しっかり現実を踏まえている部分があるのがこのシリーズのバランスの良さだと思っている。いきなり何の前触れも無しにやってくる猿の群、猿を従えるパラダイスキングの存在と、それに従って人間っぽい行動を取る猿たち。それに使役される大人達。空中での戦いなど。どう考えても変なのだが、その非常識を「非常識」として捉えている無力な大人がいる。そして彼らの目の前でそれをあっさり受けいれてしまって、その辺を全て超えて行動する適応力の高いこども達。常識と非常識のバランスが本当にしっかりしている。

 常識が厳然として存在するが故に、その常識から逸脱したしんのすけの行動がより馬鹿っぽく楽しめる事になり、その子供っぽい行動に、むしろその馬鹿さ加減の故に喝采を叫べるようになる。『ドラえもん』を初めとする子供向きの映画と、完全に大人向きになってしまった他の多くのアニメと異なり、子供と大人の双方を楽しませる作品として存在できるのはこのバランスによるのだろう。この映画は確かに「野原一家」全体を見ておく必要がある。

 そう言う意味で、本作品の劇場版は、決してしんのすけや、その仲間だけで語る事は出来ない。たとえ何も出来ず、捕らわれるばかりであったとしても、やはりひろしやみさえあってこそ、真の意味で映える作品なのだ。むしろ“常識”を持っている大人が観て、そのバランスの良さが分かるのかも知れない。

 考えてみると、次作である『モーレツ!大人帝国の逆襲』はそのベクトルが全く逆転していたけど(本来常識を持つはずのオトナの方が無茶苦茶やってる)、ちゃんと常識が踏まえられていた事にも気付かされる。

 …あれ?ストーリーについて語れなくなってしまったな(笑)

 今回はアクション仮面が大活躍で、本編が楽しいだけでなく、劇中劇である『アクション仮面』も楽しかった。某歌手の登場も良し。(それだけかい!)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)アルシュ[*] ボイス母[*]

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