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[コメント] ライムライト(1952/米)

チャップリンキートンをどついて腹にケリかますのを見せられると、結構複雑な気分になりますねえ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ノーメイクのチャップリンが見られる作品。山高帽にステッキ、ドタ靴の姿に慣れている分、非常に違和感を感じるし、やはり喋るとどうしても違和感を感じてしまうのだが、それでもやはりチャップリンはチャップリン。見事な演技を魅せてくれる。当時年齢は60を越えていたそうだが、とてもそうは思えない演技力。この作品でカルベロはよく夢を見るが、最初の夢で、必死になってコメディをやり終え、客席を見たら誰もいなかった。と言うシーンがある。芸人にとってこれこそまさしく悪夢だろう。その時のチャップリンの表情は凄い。

 ストーリーはかなりベタベタだが、逆にチャップリンだからこそ、それが許されるのかも知れない。中盤のペーソス溢れる物語はちょっと見ていて辛かったし、ラストの芸人魂は泣けた。この作品こそがチャップリン映画の集大成。と言われるのも頷ける。

 ところでこの映画、カメラ・ワークが実に面白い。舞台の直上から舞台裏を映したり、合成を用いたりして結構凝った作りになっている。映画の進歩に合わせ、チャップリンも映画の手法をどんどん変えていったことがよく分かる。

 カルベロのモデルはチャップリンの父親だそうだが、丁度この作品を作っていた時期はチャップリンが“アカ”呼ばわりされて非米活動委員会の追求、議会の国外追放提案やマスコミの攻撃などを浴びた時期に当たる。何となくチャップリン自身の心境そのものを示しているかのようにも思えてしまう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)鵜 白 舞[*] sawa:38[*] chokobo[*]

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