コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 民族の祭典(1938/独)

確かに肉体美を見せるというのがナチスのプロパガンダそのものだと言われてしまうんだろうけど、そこまで考えて観ると、どんな作品だって何らかの思想の裏返しになってしまうよ。
甘崎庵

 ベルリン・オリンピックと言えば、ナチスが台頭するドイツが国家の威信を広く世界に広げるために行われたものとして記憶されるが、日本人選手が極めて優秀である事を知らしめた重要なオリンピック大会でもあった。確かに歴史的に見る限り、本作品はナチスのプロパガンダの一環として用いられたと言うのは事実であるとしても、そのオリンピックが映画として残ると言うのは、これはこれでなかなか誇らしい気持ちも与えてくれる。

 監督のリーフェンシュタールはヒトラーのお気に入りの映画監督で、特に本作の製作に当たってはナチスの全面的なバックアップがあったそうだが、監督本人としては、自分の作品がナチス、殊に宣伝担当のゲッペルスによりズタズタにされないよう、細心の注意を払ったとの事。映画単体としてみる限り、充分な完成度を誇っているので、監督の努力の賜物と言っても良いだろう。

 ドイツ人選手が出てくる度にどよめく観客席や、オリンピック旗の横ではためくハーケンクロイツ、時折出てくるちょび髭のオッサンなど、確かに見ようによっては国策映画そのものにも見えなくもないけど、ちゃんとアメリカやイギリス、北欧と言った国歌も(一応日本の君が代も)出てくるし、結構編集は冷静に行われた感じでもある。

 映画を映画として楽しむ事が出来ればそれで良いとなれば、楽しめる。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。