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[コメント] 目撃(1997/米)

金も良いキャラも使ってるんだから、それをうまく活かして欲しかったです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 すでにハリウッドの一流監督として名高いイーストウッドによる、主演を兼ねた監督作品。決して派手さはないものの、明確なテーマ性を持った作品で、それを渋い俳優たちが円熟の演技で見せる作品に仕上がっている。

 イーストウッドは元々が西部劇出身で、自身あくまで西部劇にこだわり続けてきた人間だけに、これも又、かすかに西部劇の匂いが残る。特にイーストウッドが自身を主役にする場合、どこかアウトロー的な存在を好み、又、正統派のヒーローをどこか胡散臭げに見ているような姿勢が感じられるものだが、ここではその“正当派ヒーロー”は、アメリカそのものを体現している人物として設定したのが面白いところ。本来、国を代表する大統領の行うべき“正義”を行うのが泥棒の方であり、そしてその行いがヒーローとなっていくという設定は大変面白いところ。そう考えると、やっぱりこれもイーストウッド流の西部劇の派生なのかもしれない。

 ただ、設定の目的は自分なりに理解できるが、物語が全然盛り上がらないのがちょっと残念。そもそも話の設定自体が穴だらけなんじゃないか?と思わせてしまうのが本作の最大の問題点だろう。敵の首領が何せ大統領だけに、どうしても受けに回らざるを得なく、終始中途半端で終わってしまった感じ。しかもラストは盛り上がらないまま、大統領の自殺で終わってしまうし。

 キャラもイーストウッド、ハックマン、ハリスと、渋い演技を見せてくれるキャラクタが揃っていながら、全員演技を抑えすぎていたようで、あまりに淡々と流れすぎてしまった感がある。イーストウッド演じるルーサー自身、ヒロイック性よりは家族との軋轢に悩んでる描写の方が多く、今ひとつ盛り上がらず。それと、僅かな手がかりから真相を掴んだハリス演じるフランクも、有能のはずなのに、それが今ひとつ分かりづらい。

(評価:★3)

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