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[コメント] ゴジラVSデストロイア(1995/日)

デストロイアと言うと、覆面レスラーのことを思い出すのですが、ひょっとしてあのザ・デストロイヤーが巨大化してゴジラとやり合うんだったらさぞかし楽しかったでしょう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 平成ゴジラは出来があまり良くないものが多いが、その中でも最終作である本作が最もどうしようもない。

 これに関してはいくらでも言えるぞ。

 先ず初期設定だが、いわゆる「平成ゴジラ」は旧作ゴジラシリーズを無かったことにしないとストーリーに整合性が出ない。この作品は、最強の怪獣を作るために、やってはいけないストーリーの合体を行ってしまった。いわば、禁断の結婚によって生まれた鬼子。これがこの作品である。

 オキシジェンデストロイアーと言えば、その名の通り、海中の酸素を破壊する。その際、水中にいる生物は全て液化する。と言うとんでもない代物(この製作者芹沢博士はこれを「世界平和のために」作ろうとしたらしいが、これをどう使えば世界平和になるのか、かなり疑問が残る)。これから生まれたというのである。生物を破壊するために作られた兵器から生物が生じる…しかも、この生物は兵器の能力を持つ…??? もしも仮に万が一本当にそんな生物が出来たとすれば、おそらくこの世界はその生物にとって毒素の固まりとなり、通常の環境に置かれた瞬間に死滅するだろう。科学的素養あるのか?この脚本家は?

 体内の核が臨界にまで高まったゴジラ。生物としてそれに耐えられるか否かは、とりあえず置いておいて、臨界と言うのはあっという間に到達するもので、人の目に変化が分かると程度のスピードで暴走するなどとは…まあ、これについては、ゴジラの中に原子力発電所?があると考えれば済むのかもしれん?それはともかく、香港に出現したゴジラの足下では悠然と車が走っている。ゴジラに向かって走っている車まであるのはすごい。東宝ゴジラシリーズではお馴染みだが、にやけつつ逃げ回る市民の群は健在。

 「いわゆる、チャイナシンドロームと言う奴か」違うよ!

 そして登場するデストロイア。この生物は恐ろしい。何せ脚を使わずに歩くことが出来るのだから!脚が動かないなら「跳ぶ」とかさせる工夫が必要なのに(それだって説得力無いけど)、そのまんま歩く格好をさせる馬鹿がどこにおるか!

 自衛隊の精鋭。事前調査も行わず、何がいるか分からない工場に侵入。きっと彼らの上司は「死んでこい」と言って送り出したに違いない。しかし流石に怖いか、みんな及び腰。銃の構えがが全然駄目だし、何がいるか分からないエレベーターを平然と使おうとしたり、ダクトの部屋で銃を乱射したりと、プロとは思えないミスを連発する。戦場においては自殺行為ばかり。

 ジャーナリストに迫るデストロイア。監督は『エイリアン3』をご存じだったんでしょう。しかし、アップにすればするほど作り物にしか見えないな。こいつは。  デストロイアの合体。合体前と合体後の姿が全く変わらないんだけど、バ○○ス星人の例もある。これは大目に見よう。

 低温レーザーを発射する自衛隊。低温レーザーってのが、どういう原理で出来るもんだか、教えて欲しいもんだ。しかも、「低温レーザーの燃料も満タンです」…レーザーってのは電気で作るんじゃないのか?燃料が必要なレーザーってどんなのだ?

 ゴジラVSデストロイア。動かない(動けない?)デストロイアをフォローするゴジラ。これほど悲しい戦いはない。なにせ、小学生の図工の宿題みたいなモンスターを強く見せねばならないのだから。

 遂に臨界を迎え、爆発するゴジラ。関東一円を破壊したと言うのはまあ良し。だけど、地球の終わりだ。みたいなこと言ってた割には随分小スケールになったな。「これもデストロイアのお陰だ」の一言があれば、説得力はなくてもフォローになっただろうに。

 復活のゴジラ。…今までのストーリー展開って、何だったの?

 とにかく突っ込みどころ満載で、ゴジラシリーズの最後を飾るにはお粗末すぎ。いや、逆にらしいかも。

 造形に関しては、デストロイアが殆ど冗談としか思えない出来なのに対し、ゴジラの方はかなり格好良く、だからこそ悲しい。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)ゼロゼロUFO[*] sawa:38[*] ナッシュ13[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] かける 水那岐[*] 空イグアナ[*] 荒馬大介[*]

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