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[コメント] 学校II(1996/日)

この作品が作られたと言うことは、山田洋次がそれだけ大監督になったという証拠であるとが、同時に映画作りの挑戦を続けていることにも頭が下がる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 スマッシュヒットを飛ばした『学校』から3年。今度は養護学校に舞台を変えて話が展開していく。

 養護学校を題材にすると言う事は、かなりデリケートな問題を扱うこととなるため、なかなか手が付けられてこなかったジャンルである。確かにこれまでにもドキュメンタリーや、学校の創立秘話などはあったが、そこでも相当な配慮をしないとならなかった。それを敢えてフィクションでやってみせた事には敬意を表す。

 それで敢えて「学校」という素材においてかなり生々しい実態を踏まえて作られた本作は、一作目よりも遥かに踏み込んだものとなっていた。勿論一作目のヒットという事実はあるにせよ、その攻めの姿勢には素直に感心するし、本当に良く作ったと思う。

 本作の攻めの部分はやはり学校内での失禁やパニック描写などが、日常の出来事として行われているということ。これまで出来るだけ観ない見ないようにしてきたことを敢えて出すことで、養護学校の実態というものをほんの僅かでも見せようとしているところに表されている。

 その上で、そこに働く教師達がどれだけ酬われない労働に従事しているのか、そしてその中で喜びを得ているのかという事にも踏み込んでいるところに深さがある。一作目『学校』の場合は、教師が踏み込んではいけない部分が物語の中心になっていたが、本作の場合は逆に教師でしか踏み込めない部分というものを強調したものとなっている。それを真っ正面から描いたのが凄いところである。

 一作目も良かったが、二作目の本作も又多くの人に観てもらいたい作品ではある。ただ、観ていて心が高揚することはあまりなく、ちょっとよどんでしまうこともあって、それなりの覚悟で観てもらうことをお薦めする。

(評価:★4)

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