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[コメント] アメリカン・グラフィティ(1973/米)

眼鏡のテリーでも良い。こんな青春の一夜が持てれば…そんな事を思った、青春真っ盛りだった“はず”のあの日の私。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 かつて私がいた田舎町では、毎月一回映画館で名作や、ミニ・シアター作品の映画を上映する日があった。ここで観た映画のいくつかは本当に宝物だ(『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』も『カサブランカ』も『2001年宇宙の旅』も『スティング』もみんなここの劇場で観たものだし、『ベルリン天使の歌』とかいくつかの中国や韓国映画など、本当に良い作品を見ることが出来た)

 だけど、この当時、私は精神的に徹底的に低調期にあった。本気で死ぬことまで考えていたほどの(そんな勇気なんか私にあるはず無いから、今私はここにいる)。

 そんな時に観たのが本作…抑えられた感情が爆発した。泣きながら笑っていた。それだけに本作も私にとっては忘れられない作品となった。

 本作は四人の青年達のたった一晩のお祭り騒ぎを描いているのだが、それぞれに個性が引き立っているので、切り替えが行われた途端にすぐそれぞれの物語へ没入することが出来る。そして全員がこの一晩で未来が変えられていく過程が丹念に描かれる。笑いあり、じんっと来る涙あり。本当に上手い出来だ。ロックン・ロールと、あのDJの存在感も良い雰囲気。

 でも、何より驚かせるのが、あれがほんの片田舎に過ぎないと言う事だろう。決して都会ではない、大多数のどこにでもある町の風景があんなに輝いているのがアメリカだったんだな。

 そして希望に満ちたラストシーンと、それに被さる「戦争」という冷徹な事実。これがルーカスの才能か?

 後、この作品には後に映画界で有名となる人たちが本当にたくさん出ているのが特徴。何せロン=ハワード(監督なんだが)、リチャード=ドレイファス、こっそりとハリソン=フォードなど、後の映画界を支えていく若手発掘に一役買った作品でもある。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)Keita[*] ペペロンチーノ[*] JKF[*] けにろん[*] ina tredair[*]

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