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[コメント] 2001年宇宙の旅(1968/米=英)

「本物に近いですよ」というあの食べ物がどんな味なのか、ずーっと知りたかったんですけど。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私にとって映画とは何か。と尋ねられたら、まず最初にこの映画を観たときの衝撃を語ることになるだろう。そう。この映画こそ、私が映画にのめり込むきっかけを作ってくれた最初の作品である。

 冒頭の猿人が道具を使うシーン、骨を宇宙に放り投げ、それが宇宙船になるシーン。冒頭部分は我知らずもの凄い感激を覚えたものだし、本編最初の食事シーンに始まり、途中の緻密な宇宙船描写やウィットの利いた会話など、そしてあの衝撃のラストと映像の流入も、最早関心の領域を越え、感動の範疇に入っている。宇宙船の理に適った構造も、随分後になってから知ったものだ(この映画の訓練風景をNASAが参考にしたと言う笑い話もある)。

 本作品を俯瞰すると、二つの事件が並行して起こっていことが分かる。モノリスに始まる地球外知的生命体とのファースト・コンタクトもの(正確には違うけど)と、コンピュータの反乱もの。この二つの一見別々に見えるストーリーが絡み合っているのだが、その指向は「知恵」と言うキー・ワードにまとめられていることに気付かされる。

 本作品はアーサー・C・クラークの書いたプロットをキューブリックと共に脚本化し、更にそれをクラークが小説にしている。結構複雑な経緯で映画と小説が出来ているのだが、実はこれは相互補完する形で作られている。映画で分からない所は小説で。と言う形を取っているので、映画単体として観るだけでなく、小説を読んでこそ、本当にこの映画観た。と言えるだろう。考えてみればメディア・ミックスの本当に最初の作品なのかも知れない。色々な意味でエポック・メイキングだった。

 既に一体何度か分からない程の回数観ている作品でもある。映画、ビデオ、LD、DVDと、メディアの進化によって、次々と観るものを変えているが、未だに衝撃は薄れない。

 最後に、冒頭の質問「私にとって映画とは何か」という問いに敢えて答えるならば、「衝撃だ」と答えよう。この映画で受けた衝撃を忘れないように。

(評価:★5)

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