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[コメント] イエスタデイ(2019/英)

ビートルズを知っていて、多少歌える世代にとってはとても幸せな気分に浸れる作品とは言っておこう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 このところポップスミュージックを扱った作品が結構目に付く。昨年のボヘミアン・ラプソディ(2018)という傑作もあったが、概ね1970〜80年代のものが主。私なんぞはまさにド直球世代なので、その当時のポップスミュージックを聴くと口ずさみたくなる位なのだが、それをすっとばして、ポップスの生みの親で、世界の音楽をまるごと変えて見せた始祖。ビートルズを熱かった作品が世に出てしまった。

 馬鹿馬鹿しい設定だし、果たしてビートルズの音楽が半世紀を経て本当にこんなに受けるのか?とか言う疑問はあるものの、観てる内にそんな事どうでも良くなってくる。

 だって気持ちいいんだよ。とにかく音楽シーンが浸れる。こんなに画面で心地よく音楽に浸れるのはボヘミアン・ラプソディ以上。私にとっての気持ちよさのレベルはマンマ・ミーア!(2008)レベル。ものすごく気持ちよかったし、観終えた後、とても幸せな気分に浸れた。作品も良いけど余韻も良かった。特にラストのオブラディ・オブラダは歌詞の内容までラストシーンにぴったりはまっててとても心地よい。

 本作の特徴として、基本的に悪人がいないと言う事になろうか。アメリカ人プロデューサーのデブラが悪人っぽいけど、表裏がなくて最初から自分の欲望を全開にして嘘を言ってない。ジャックの友人たちも個性が強くて迷惑ばかりかけるけど、それはイギリス流の人間関係だから。イギリスで作られた映画ということもあるけど、意識してイギリス人らしさというのを強調してるので、距離感掴めない人間が多数登場してる。それがイラッとさせることもあるが、彼らも基本は良い奴ばかりだ。そういう意味では本作はイギリス人とアメリカ人の対比という意味合いでも楽しめたりする。

 そしてこれは絶対に評価しなければならないのは、ジョンが訪れる海の家にいるジョン・レノンの姿。確かにこの世界にはビートルズは存在しなかったが、メンバーまでいなくなったわけではなかったようで、ジョンは漁師として人生を全うしてる。

 このIFの物語に、ここを描いてくれただけでも本作は成功だと思えたし、このシーンを全く予想できなかった自分が恥ずかしい。

(評価:★4)

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