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[コメント] アリータ:バトル・エンジェル(2018/米)

原則既読の読者にとっては「懐かしい」だけ。そうではなく「驚いた」がほしかった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原作の映画化という意味合いでは間違いなく良質である。「銃夢」の最初のエピソードを実写で完全再現出来るというのは、それだけで快挙であり、ここまで出来るならば、どんな漫画だって実写映画化できるだろうと思わせるほど。

 しかし、それだけである。

 原作を単純に再現すれば、それが良い映画になるのかというと全く違う。実写だからこそ出来る部分と、既読の読者にこそ驚かせるような演出が欲しいのだ。

 本作はストーリー全部が予想の範囲内に収まってしまったのが問題。目新しいところがなく、次の展開まで先回りして分かってしまうので、それをなぞるだけ。なんか退屈退屈になってしまい、せっかくの良い演出がまるで生かされてない。

 それと本作の最大の問題点は、“古臭さ”だろう。

 「銃夢」が連載されていたのは20年以上も前。当時流行っていたサイバーパンクの設定をベースにしたものだったのだが、既にサイバーパンクはSFでも時代遅れの感があり、概ねの演出がなんか古くさく感じてしまうのだ。SFに古いも新しいもないかもしれないが、20年前に散々映像化されたものを今更出されても新しさは感じない。

 これに関しては監督のロドリゲスのせいというのもある。

 ロドリゲス監督は演出的には申し分ないのだが、新規で設定を作るのが苦手っぽい。

 これまで何作ものSF映画は作ってきたが、そのほとんどは、どこかで観たような世界観を引っ張ってきたものばかりで、監督のオリジナリティに欠ける。その範囲内できっちり良い作品は作れるのだが、そこまで。最も重要な驚きがない。

 特にSFは監督のセンスが問われるのに、そのセンスが無いのは問題だ。

 本作も「銃夢」の世界観を忠実に描こうとした結果、忠実すぎて古臭さまで作ってしまったと言う事になるだろうか。

 監督がキャメロン自身がやっていれば、目新しい部分とかもちゃんと作られただろうにと思うと、そこが勿体ない気がしてならない。

(評価:★3)

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