[コメント] ハンター(1980/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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スティーヴ=マックィーン。この名前を言うだけで私の頭の中では即座に「格好良い男」と即座に変換されてしまうほどのヒーローである。役そのものは極めて狭いが、そのことごとくが本当にヒーロー!と言う感じ。大好きな俳優である。
だがしかし、実は彼の姿を観た最初の作品が本作だったりする。子供の頃にテレビで観たのだが、実はこの作品で強烈な印象を受けたものだ。
実は私にとっては初めて“オタク”と呼ばれる大人がいることに気づいた作品だった。ここで家の中に山ほど飾られているティントイを愛でる姿は強烈に印象に残っている。「こういう生き方って格好良いなあ」と子供心に覚えたもの…で、本当にそうなってしまったのだから、刷り込みって怖いものだなあ(笑)
ただ、この時はマックィーンという名前も知らず。ただそう言う強烈な印象だけ残っていたのだが、長じて数多くのマックィーン主演作品を観た後で本作を観たら、又これが格別な良さを感じさせてくれた。
何せ本作のマックィーンは、これまでの役柄ことごとくをセルフパロディののように否定して見せている。喧嘩はさほど強くないし、運転は下手だし、スタッドポーカーを勧められても拒否する。更に犬に嫌われ、女性に奥手で赤ん坊を愛でるなど、ここまでやるか!と言うほどに見事に“らしくない”役を演じている。
しかし、それでも尚、やっぱりマックィーンはマックィーンで格好良いのである。 それはどんなにこれまでの役柄を否定していても、殊“度胸”だけは健在だったから。
改めて思うに、私がマックィーンに格好良さを感じるのは、立ち居振る舞いやヒーローぶりではなく、それがどんなやせ我慢であったとしても、度胸を捨てなかったと言う点にこそあったのだな。マックィーン主演の諸作品を観た後、これを観る価値は充分にあり。これこそ本当の格好良さなのだ。
これによって役の幅を一気に広げたと思うのだが、既に本人はこの映画の撮影で自分がガンである事を知っていたらしい。最後の最後、自分の役を否定して見せたのは、彼なりの本当に遺言のつもりだったのかも知れない。 遺作としてこれを持ってきた事に、改めて拍手を送ろう。
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