[コメント] プーと大人になった僕(2018/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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A・A・ミルンの描いた童話「くまのプーさん」および「プー横町にたった家」に登場する唯一の人間クリストファー・ロビンが成長したらどうなるか?という観点に立って作られた作品となる。
ちなみにミルンが「くまのプーさん」を描いたのは、息子のクリストファーに読み聞かせるためだったそうで、本来は家で読むためだけの短いエピソードの断片だけの作品だった。ただ、雑誌の編集をしていたミルンはそれを雑誌に載せたところ大反響を引き起こし、再編集して本にまとめたという経緯を持つ。
ただ、自身の名前が絵本の主人公になってしまったクリストファーは、後にマスコミから追われ続けてすっかりやさぐれてしまって、家族と絶縁状態が長く続いたとも言われている。
だからクリストファー・ロビンというのは実在の人物なのだが、本作はそんな本物のクリストファーを追うのではなく、あくまで絵本の中のクリストファーの後の話という位置づけとされている。
絵本の中、なんとなく100エーカーの森を去ってしまったロビンで終わる物語の後がどうなったのか。子どもは誰しもそれを考える。それも含めて童話を読むという行為となる訳だが、実際にリアルな話として人間社会に帰った主人公がどうなるのかというと、基本的には普通の人生を歩むことになるだろう。本人にとってはそれはそれで幸せなことかも知れないが、端で見ている人にとっては、そんな生活はもどかしく感じてしまう。
そんな、軽く苛つくような生活を送っていたクリストファーに、もし昔の仲間たちが会いに来たら?
そこが本作の原点となる。
実はこのパターンは既にスピルバーグがピーターパンを題材に『フック』(1991)でやっている。とても派手なスペクタクル作品だったが、流石に「くまのプーさん」ではそう言う激しいアクションはなく、落ち着いた物語として作られてはいる。
疲れたお父さんをマクレガーは上手く演じていたし、プーたち100エーカーの森の住民達も、まさにアニメそのもののたたずまい。たいした事件でもないことを大騒ぎして、気がついたらいつもの生活に戻るというエピソードも「くまのプーさん」らしくて良し。
CGで作られたプーたちも自然でぬいぐるみっぽさに溢れて、こういうのが良かったという安心感もある。
ただ、落ち着きすぎていて、予想を超える部分が全くない。期待したとおりの展開で、期待したとおりに終わる。そんな感じの物語となってしまった。
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