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[コメント] ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー(2018/米)

恐ろしい設定ばらし。 実はこの世界の言語は英語であるという事実。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ルーカスはそもそも「フラッシュ・ゴードン」を作りたがっていたが、許可が下りなかったので全く新しい作品として『スター・ウォーズ』(1977)を作ったと言う経緯がある。それ故『スター・ウォーズ』は構造として、その時代のSFを引きずることになった。  特に1作目の『スター・ウォーズ』におけるハン・ソロの存在はまさにカウボーイそのものである。いや、カウボーイという概念では無く、『駅馬車』(1939)のリンゴー・キッドをモデルにしてるとしか思えないようなキャラだった。

 だからハン・ソロを主人公にする場合、SF西部劇となるのは必然と言っても良い。

 しかし、根本的な問題として、「そんなの誰が求めてるの?」という話である。予告でハン・ソロ役のエアエンライクがはしゃいでるのを観てるだけでなんとも言えない気分にさせられる

 しかし、良い意味で裏切られた感じではある。

 確かにSF西部劇ではあるものの、物語の緩急はしっかりしているし、ハン・ソロが自然な感じでアウトローになっていくのが観られたので、その辺は楽しく観ることが出来た。宇宙を舞台にした西部劇には違いないけど、ノスタルジーがある訳じゃないので、普通に面白い。

 緩急取り混ぜた演出の巧さはヴェテランのハワード監督の力量だろう。

 ストーリーやキャラに関して、決して悪い作品では無い。

 ただ、本作には根本的に欠けた部分がある。

 それは『スター・ウォーズ』とつながりが薄すぎるという点。

 伝説のアウトローのハン・ソロが出来るまでという意味では物語はつながってはいるのだが、こういったスピン・オフ作品の醍醐味は、本編にかかる設定の補完である。本作の成否は、「あのシーンはそう言う事だったのか!」と思わせる裏設定の放出にあったはずである。

 本作におけるシリーズ設定のばらしは、ハン・ソロがチューバッカを相棒にしたことと、ミレニアム・ファルコン号をどう自分の船にしたか。の2点。

 本作では、例えば前半の帝国軍は一体誰と戦っているのかとか、帝国における官位とか、少なくとも帝国の側から観た反乱軍の姿というのが大切だったはずなのだ。

 ところがそれが全く出てこない。ただ「帝国という組織があって、戦ってる」というだけの情報しかなし。一応ダース・モールが生きていたというサプライズはあって、多分これが次回作への伏線になってるのだが、これは後付けの設定に過ぎず、本編に関わる興奮がない。

 だから別段本作は『スター・ウォーズ』を舞台にする必要がなく、興奮を覚えないのだ。単体として面白さを追求するあまり、ケレン味がなさ過ぎるのが残念。

 それと、一つだけとんでもない設定ばらしがあった。

 ハン・ソロの名前の由来は「独り者のハン」と言う事が分かったのだが、それはつまり「solo」という英語を使っていると言う事。てっきり宇宙のどこかの言語を英語に変換してたと思ってたけど、この世界で使われている言語は英語だと分かった。さて、これをどう整合性付けるやら。

(評価:★3)

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