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[コメント] ゲティ家の身代金(2017/米)

ウォルバーグがインテリな役を演じる。これほど無理っぽいキャスティングを力業で見せた監督はさすがだ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
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 近年精力的に製作および監督で次々に作品を世に送り出すスコット。特に70歳となった2017年は話題性の高い映画3本の製作とテレビシリーズ2本の製作。更に本作を含めて2本の映画監督と、とんでもないスケジュールで仕事をこなしている。それだけ気力が充実しているということなんだろう。

 ただ、『エイリアン:コヴェナント』であれ本作であれ、どうにも今ひとつの感じ。  何故なのかと考えるに、この二作に共通するのは、演出は相変わらず冴えてるのだが、脚本が今ひとつだと言う事。

 悪く言えば、最初から失敗が決まってる作品となる。良く言うなら、どんな脚本であっても見せてやるという監督としての誇りと言うべきだろうか。

 実際この脚本は相当に悪い。事実を元に作られた作品だとしても、別段実録を作る訳ではないので、もう少し盛り上げ方を考えた方が良かった。

 誘拐犯人グループが間抜けなのはまだ構わないのだが、それを追う警察までが間の抜けた行動をするのには何らかの理由が必要なのだが、そこら辺が全く描けてないし、これだけの大事件にもかかわらず、マスコミの果たした役割が全くないどころか、本当に何もしてないとか。

 更にフィクサーとして派遣されたフレッチャー役がウォルバーグだからねえ。この人最近の出演作品ではあんまりものを考えないマッチョ役ばかりやってるお陰で、インテリ役が全然はまらないし、たいそうなことを言ってるくせに全然役にも立ってない。なんでこの人を起用したのか全く分からない。

 そしてなにより、お爺ちゃんのゲティがなんであんなに頑なに身代金を払おうとしなかったのかの理由が全く説得力を持たない。

 ということで、ストーリー的にはほとんど見るべきところが無いのだが、パートパートの演出はかなり良く、なんだかんだ言っても最後まで一気に観られてしまうのがスコット監督の力だな。

 なんか『ハンニバル』の時を思い出した。

(評価:★3)

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