[コメント] KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
かつて『コララインとボタンの魔女』(2009)で視聴者の度肝を抜いたライカが七年の歳月をかけ、新たな驚きを提供してくれた作品。宣伝が下手くそなため、公開時までこれがどれだけ凄い作品なのかが分からないまま。たまたまSNSで絶賛してる人がたくさんいたから、検索して視聴を決定した。
絶賛はよく分かる。私だって本作の演出に関しては感動の嵐だった。先の『コララインとボタンの魔女』の場合は人形の質感が分かる柔らかいタッチで、いかにもクレイアニメーションと言った感じだったのだが、本作の場合、柔らかいタッチもあるものの、基本はかなり硬い感じの人形を用いている。
そのお陰で一見したらCGアニメのように見えてしまう。
実際本作を前知識なしに見せたらほとんどの人はCGアニメとしか見ないだろう。それだけ細やかな作り方をしているのだ。
その中には確かにCGでは出せない質感もあるし、よーく観てると、どれだけの苦労の末に子の演出がなっているかを知った時、本作は唯一無二の演出力を持つ作品だと言えよう。
何度でも言うが、画面を見てるだけで幸せになれるような作品である。こんな作品に出会えるのは滅多にない。
正直、こんなアニメが見られただけでもう充分。眼福眼福。
一応物語についても言っておかねばならないだろう。
これに関してはちょっと中途半端な印象があり。
和風テイストは良いし、ちゃんと日本の風景っぽくなっているけど、原作版の「ゲド戦記」を無理矢理和風仕立てにした感じがあって、それがちょっと競合してしまった印象を受ける。
雰囲気的には和風なのだが、魂はヨーロッパという所かな。それが上手く馴染んではおらず、ちょっと落ち着かない感じにもさせたところが難点か。
物語の起伏はしっかりあって、クボの成長に合わせて装いが変わるなど、細やかな演出もしっかりしているのでその辺は気になるほどではないし、全年齢で楽しめるように作ると必然的にこうなるのだろう。
何にせよこれを劇場で観られたのは幸せな気持ちである。後はこの作品のメイキングを合わせたディスク販売がとにかく楽しみである。
勿論本編も面白いけど、メイキングでどれだけ手作業の苦労が見えるか。楽しみだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。