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[コメント] オデッセイ(2015/米)

地道な努力の積み重ねで、これだけ面白い作品が作れるのだから、まだまだ映画の可能性ってのを感じさせてくれる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 本作はたった一人の人間を生かすため、そして地球に帰らせるための惜しげない努力が描かれる事になり、傾向としては実話を元にした『アポロ13』(1995)に近い話になっている。勿論大きな違いがあり、『アポロ13』は数日という限られた期間のドラマだったのに対し、本作は数年という単位で物語が展開する。この違いは、単純に無事地球に送り届けるだけでなく、火星という場所で生き残らねばならないという部分に強調点が置かれること。だからこそ本作は現時点での唯一の本物の“SFサバイバル”となっている。

 そして、その“ただ生き残る”ための努力がたまらなく面白い。生きるために何が必要なのかを計算で割り出し、そのために出来る努力を一つ一つ積み上げていく過程がなんだかとても観ていて元気づけられるというか、とても楽しく感じる。それが火星と地球の二つで同時進行で起こり、時に交差し、時にすれ違いながら、一つの目的に向かって徐々に完成されていく。それだけで充分ドラマになっているのがとても楽しい。

 そして何より本作で良いのは、基本的に全員が一つの目的に向かって邁進していると言う事だろう。ハリウッドでの大作、特にSFになると、大概誰か陰謀を張り巡らせる人間が出てきて、人災によって計画が破綻しかけたり、余計なアクションシーンを入れたりするものだが、それを外し、あくまで一つのミッションを心を合わせて行う。それで充分ドラマ性を高めることが出来る。そんな地道な努力こそが本作の最大の見所なのだ。

(評価:★4)

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