コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] テッド(2012/米)

最初の10分間はとんでもなく面白かった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 可愛いテディベア(のようなもの)が命を得、しかも下品な中年になってしまったというワンアイディアで押し切った作品。確かに可愛いぬいぐるみの中身がおっさんというのは、アイディアとしては大変面白く、それを踏まえた演出などもふんだんに抑えられていて、下品だけどコメディとしてはなかなかのもの。実際作品としては面白いと思う。

 オープニングの少年時代から現代に至るまでの畳みかけ演出は実に素晴らしいものだった。パトリック・スチュワートの流れるようなナレーションと共に、ボストンの町の変な紹介から、少年時代の願いの強さ、オチに至るまで完璧なもので、これは大変期待できる!と思わせる、わくわくさせるオープニングは最高の部類。

 ただ、あのスピーディなオープニングが終わってしまうと、後はややだらだらと続くようになってしまって思ったほどはテンション上がらなかった感じ。完全に忘れられてたけど、まだマニアがいたサム・J・ジョーンズの登場も、どっちかと言えば苦笑いの範疇。

 だらけたという印象は、本作のメインストーリーに関わってくる。本作の狙いは、コメディで、しかもその味付けとして、80年代のロマコメをベースにしてる(その当時のロマコメの定番として、男女の恋の仲を取り持つのが老人や少年、あるいは人外の生物というアイコンを使うのが定番だった。まさに本作のテッドの使われ方そのもの)。これをわざわざこの時代に作ったのは、80年代ロマコメに対する揶揄であり、知ってる人ににやけて欲しいと言う思いを込めて敢えてこのような演出にしたのかと思うんだが、その分ジョンとローリーの恋愛話が中心になってしまい、テッドにかかる重点が薄まってしまったのが問題。終わりに帳尻を合わせたけど、メインの物語がテッドではなくジョンの方ってのは、物語としてパンチ不足って感じ。

 観てるこちらとしては、こちらとしては無軌道なぬいぐるみのお馬鹿コメディが観たかったのだが、中心があくまで普通の作品になってしまったため、もう一歩足りないという印象にしかならなかった。もう一押しほしかったし、テッドの馬鹿っぷりをもっと楽しみたかった。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。