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[コメント] ローラ殺人事件(1944/米)

この時代にこれだけ優れた描写の推理作品があったとは。プレミンジャーを見直しました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 キャスパリー原作の推理小説の映画化作。いかにも小説に忠実に作られています。的なストーリー展開が映えるが、しかし謎とか何とかじゃなくて、よく1944年というこの年にこんな描写の作品が作れたものだと感心する。推理小説の場合、小説だから許される描写というのもあるし、後で読み返す事を前提にすれば、人間関係を複雑化させることが出来る。対して映画の場合は時間が限られ、時間を戻すことが出来ない以上、どうしても観る側に親切に作る必要というのがあって話を単純化しがち。しかしプレミンジャー監督は敢えてそれを無視して小説っぽく話を展開して見せた。ストーリーは割り切り、その分演出で見せてしまおうという意気込みに溢れている。

 時代性もあって演出的にそんなにこなれているとは言えないものの、特に一室に全員を集めることで、複雑な人間関係を一目で伝えようとする演出はかなり面白い。物語も複雑な割にさくさくと進み、流れるように観ていくだけで状況が頭に入ってくるのも好印象。  又、本作はアンドリュースの格好良さがなかなかに映え、若手ながらお堅く、非情に捜査を進めていく行動力はなかなかのもの。その辺よく分かっているようだ。

 ラストの素っ気なさが今ひとつだが、古典的名作推理作品と言われるのは伊達ではない。

(評価:★4)

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