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[コメント] トリスタンとイゾルデ(2006/米)

見事にボタン掛け違えてしまいました。スコット兄弟のどっちかが製作じゃなくて監督やってくれてたら、それなりに良い作品になったんじゃないかな?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『トリスタンとイゾルデ』は元ケルト人の物語だが、イギリスの中世叙事詩の一つで、トリスタンはそのままアーサー王伝説の一つに組み込まれて現在に伝わっている。敵味方の男女の激しい愛というのは、後の多くの物語のプロトタイプにもなったことで有名な作品。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」なんかはまさしくその直系だろう。

 特にイギリス人に有名なこの作品の映画化は昔から色々話は上がっていたものの、なかなか実現しなかった。特にリドリー・スコットはこの作品の監督に執念を燃やしていたらしいが、その企画が倒れたために『レジェンド 光と闇の伝説』(1985)を作って、その弾みを付けようとしたところ、この作品自体が失敗してしまったために、本命である本作が作れなくなってしまったという事実もある、それから20年。リドリーは弟のトニーと共に製作に回って作り上げたという、まさしく執念の作品が本作。

 その執念は買いたい。が、しかし作品の出来自体が可もなく不可もなくといった、毒気も色気も感じられないような作品で、ほとんど話題になることもなく終わってしまった。これが1950年代に作られてれば「超大作」として、有名どころを引っ張ってきて作れたんだろうし、もうちょっと特撮に造詣の深い監督にやらせていれば、出来も変わったんだろうけど、どんな作品も淡々としたものに仕上げてしまうレイノルズ監督になんか任せたのが失敗だったんじゃないかな?

 リドリーの本気とはどんなものだ?と勢い込んで観たのに、もの凄い肩すかしを食らった感じだぞ。

 更に言えば悪役顔のフランコを主演にしたのも問題があるんじゃないか?どう観ても主人公って感じじゃないし、やることなすこと小者っぽくて。

 いろんな意味でボタンを掛け違って作られた作品と言った感じ。せめてリドリーが自分で監督してくれたら、出来も随分変わっていたと思うのだが。

(評価:★3)

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