[コメント] 雲のむこう、約束の場所(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作はかつてたった一人で一本の短編アニメ『ほしのこえ』(2002)を作り上げたと言う経歴を持つ新海誠監督による初の劇場用長編アニメーションであり、本作でも監督、脚本、演出、CGワークと、多面に渡る活躍を見せている。
前に『ほしのこえ』を観た時は、その雰囲気が妙に印象に残っていたため、機会があったら是非観てみたいものだと思っていたが、丁度良い具合に上京となったことと、わざわざ複数の方からこれを観ろとのメールまでいただいたことも含めて、鑑賞と相なった。
それで出来なのだが…
画面画面の雰囲気自体が悪いと言うほどではなく、むしろ全体的には良作と言っても良い位。読んでいる本(村上春樹や宮沢賢治など)で元ネタをばらすのは少々やりすぎのきらいはあるものの、その辺のケレン味 は決して嫌いじゃない。
…しかし、である。
少なくとも、90分と言う時間をこれほど長いと思ったのは、本当に久々だったのは事実。
なんというか、とことん退屈。後半は生欠伸が出っぱなしだった。
ストーリー自身が悪いと言うつもりはないし、雰囲気はしっかりしてるのだが、時間に関する演出が致命的に悪い。90分の時間を全く有効活用出来ないまま。
妙に間延びしてるかと思えば、急にストーリー密度が濃くなったり、クライマックスのシーンまでが退屈だったりしてる。本来退屈なシーンにこそ、それを感じさせないような演出が必要なはずなのに、その辺全く考えてないとしか思えない。
『ほしのこえ』の時はそれでも30分という短い尺だったため、場面場面の演出の連続で充分観られたのだが、それを90分続けられて見せられると、正直こたえる。
それと個々の演出についても、わざとらしさが目につかされる。木造の校舎や石油ストーブ、蛍光灯といったアイテムが単なる記号にしか感じられず、どうだ、懐かしいだろう。という押し付けにしか思えない。所詮記号でしか捉えることが出来ず。
新海監督自身、気負うところがあったことがあっただろうし、自分の作りたいものを作ると言う姿勢は評価したいのだが、金を払って素人の自己満足に過ぎない作品を観て喜べるほどではない。なにせこれまで演出をやったことがなかったのはやはり致命的だったのではないか?それなりに演出をこなし、どう言うタイミングでどう言った見せ方をすべきかがわかっていないとしか思えない。
素人レベルではともかく、劇場用としてでは耐えられず。
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