[コメント] ヴェロニカ・ゲリン(2003/米=アイルランド=英)
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1996年に射殺されたアイルランドの実在のジャーナリスト、ヴェロニカ・ゲリンを描いた作品。当時アイルランドは政治に食い込んだ麻薬組織が、特に低年齢層に麻薬を売りつけることで莫大な利益を得ていたそうだが、彼女の活動とその死によって大きく社会そのものが変わったと言う事で、大変重要視されている女性だそうだ。
物語そのものは事実という裏打ちはあっても、作りは月並み。アイディアとしても、ラストへのもって行き方も、決して目新しい部分があるわけではないし、事実を基にしているからか、割と物語も淡々とした感じ。麻薬描写も表層的。ヴェロニカの心情も掘り下げて語ろうとしていない。などなど決して悪いというわけではないにせよ、細かいところで不満を感じさせる作りで、このままでは単に地味な作品と言うだけで終わってしまいがちな物語だった。日本もアメリカもこういうドラマが好まれるので、テレビではよく流れてるし。
でも、本作はなんと言っても私のようなブランシェット好きにとってはたまらない。役作りには定評があり、どんな役を演ってもはまる人だけど、こういったストレートな激しい役って、実はそんなに多くない。私なんかはブランシェットの迫力ある物腰や喧嘩腰でべらべらと喋る魅力だけで充分!ってな感じ。
本作のブランシェットは“綺麗”という言葉は当てはまらないだろう。いや綺麗は綺麗なんだけど、それ以上に“意志の強さ”というのをそのまま体現したような演技には圧倒される。しかもここでは激情的なだけじゃない。持続させる怒りといったものが根底にあることが分かる。こういう演技出来る人って凄いと思うよ。
結局本作はブランシェットを観るための作品で、それ以外は目新しい部分がない。それを割り切ってしまえばかなりはまれる作品であるのは確か。ファンだったら必見。
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