[コメント] 普通じゃない(1997/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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世間にもたまにいる「普通じゃない」ことにあこがれているような人たちの話が堪え難いほど退屈なのと同じで、個人的には、これほど観ていて辛い映画も珍しかった。
ダニー・ボイルの演出はクエンティン・タランティーノの鼻をあかしてやろうとムキになっているようにしか見えなかったが、結果はただの劣化コピー以下の出来。才能の違いを曝け出してしまっただけの気がする。いや、才能ではなく愛情の違いかもしれない。
たとえば、ホリー・ハンターとデルロイ・リンドーがモーテルで相談するシーンのBGMが会話の邪魔になる感じ、肉が食べられないと言うキャメロン・ディアスのセリフの陳腐さと場違いな強い口調、その後で脅迫の「お手本」として披露するぶち切れたセリフ回しのキレの無さ、ユアン・マクレガーが警備員に撃たれて奪った金をバラまいてしまう、そのアクションの意図的にわざとらしくやった不細工さ・・・いくらでも書けるこうしたディテールのひとつひとつがカンに触って、イライラしっぱなし。
まず、ユアン・マクレガーのキャラクター設定がダメダメで魅力がまるで感じられない。演出も同じ方向なので意図的なんだろうけど、ダメオトコなりの魅力がどこかになければコメディとしてもお話が成立しないだろう。
キャメロン・ディアスには確かに華はあるが、こうしたエキセントリックなキャラクターを演じさせるのであれば、たとえばユマ・サーマンのクールさにまったく及ばない。
すっとぼけた表情で平然と「悪魔のような天使」を演じるホリー・ハンターの演技だけが救いと言えば救い。
まあ、これを良しとする人も少なくないようなので、ただ単にダニー・ボイルの感覚、特に笑いのセンスとは肌が合わない、ってことなのかもしれないけれど。
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