[コメント] 愛を読むひと(2008/米=独)
1950年代から1990年代まで、戦後ドイツの変遷を追った街の映像は見事と言う他ない。水辺や郊外での夏のきらめきも忘れがたいし、ケイト・ウィンスレットの演技は本当に申し分無い。でも「朗読」という行為の「映像化」としては失敗では?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そこからほつれるように、ドラマとしてのポイントが曖昧になってしまった感がある。戦後ドイツの世代が負った贖罪の意識と個人のデグニティの狭間で立ち止まるしかなかった主人公の逡巡が、極めて矮小で保身的なものに見えてしまう。
ハンナを「撃ち殺したい」と言う法科の学生の正義感は、狂信的な「反ナチ」という社会の病であるかのようにも見えるが、この映画を見ていると主人公マイケルの行動は優柔不断で自己保身的に見えて来て、それこそ「撃ち殺したく」なってくる。
その素晴らしい映像と演技にもかかわらず、この映画は原作に遠く及ばないと思う。
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