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[コメント] Dolls(2002/日)

この映画に北野武本人は現れない。バイオレンスも描かれない。しかし、かつてのどの作品よりも武的な「愛」に対する絶望的な儚さが表出する。愛は最も残酷で暴力的なのかも知れない。それでも、人は人を愛する。絶望的な儚さの果てにある「幸せ」を求めて・・・
starchild

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はこの映画にあえて点数をつける事を避けたい。なぜなら、武の描く「愛の儚さ」に採点をすることができないからだ

人は「儚い」と知っていても人を愛する。例えば、愛する人と結ばれ、家庭を持ち、子を授かるような一般的に言われる「幸せ」ではなく、相手を想うが故の苦しさや後悔の想いと闘う中にも人は「幸せ」を見出す。

ネガティブだが精一杯の想い。そこに偽りはない。

そして、愛するものに裏切られて自らが壊れてまでも想い続ける女

だからこそ、佐和子がまとう衣はそれぞれの季節よりも強く輝いていた。とてもホームレスとは言えない。あの衣装がリアリティーを消し去ったという人もいるだろう。しかし、あの衣装が映し出しているのは彼女の純粋な心なのかもしれない。(男の衣服にも彼の心が描き出されていたように感じた)

果てしなく続く愛するが故の儚い想い

彼らをつなぐ赤い紐はその絡みを増して太く強くなっていく・・・・・・

儚いからこそ、切ないからこその「美」がそこに在る。

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追記1

この映画は後からクルと思っていたら、あまりにもクル。このサントラは買えない。辛過ぎる。

追記2

北野武の映画は海外で高く評価され、メディアでは日本が誇る輸出品のような形容がされていますが、彼の映画は日本人にこそ見て欲しい。

(評価:★0)

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