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[コメント] ブラックホーク・ダウン(2001/米)

初めての“泣き”方
ミュージカラー★梨音令嬢

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画でこんな“泣き”は初めてかもしれない。やりきれなくて、可哀相で……。それもある。しかし私が泣いた一番の理由は「恐怖」だ。途中、激しい戦いがただただ繰り広げられる光景に涙が止まらなくなった。怖かった、心底怖かった。19歳になるいい年の女がスクリーンの中の(事実に基づいていても)、“嘘”に幼子のように怯えて泣いたのだ。そんなに多くない観客の中で泣いているのは私1人のようだったが…。私は戦争を知らない。興味がない。というか怖いから事実を見たくないという事もある。しかし、あの映像がひどくリアルと感じた。破裂する爆弾、飛び散る血と肉、銃の音、舞い上がる土、むせかえる火薬の臭いが、ここまで迫ってくるようだった。いや、実際迫っていたのだろう。泣くぐらいだから。

監督のスコット自身が言っていたが、「これは、観客に問いかける作品であって、答えを提供する作品ではない」そうかもしれない。しかし、私には問いかけすらないように思えた。ただ、戦場があるだけ。戦争を知らない若輩者が言うのは何だが、戦争は別に私達に反戦を訴えようとして“存在”する訳ではないと思う。それこそ映画やドラマではないし、製作者が反戦メッセージを意図して作っている“作品”とは違う。日本のような平和な国は戦争の起きた国で(もしくは自分達の国の歴史で)誰かが撮ってきた映像や写真を見て、結果的に「戦争はいけない」と思うかもしれない。この作品にも“それ”を感じた。だが、これは映画だ。“嘘”だ。しかし、本物の映像よりリアルであると感じさせてくれるのは映画の方だ…と私は思う。だから、「何も訴えてこないメッセージ」というものを作品を観た私達が、心の中で感じる事ができる。

私は戦争はいけないと感じた。あってはならない事だと思った。スコットが反戦を意図して作ったのなら、それは私的には大成功だ。 ジョシュとブルームとユアン目当てで行ったのに、彼らは戦場の一兵士にしかすぎなくて、過剰にスポットを浴びる事も、じっくり感傷に浸るようなシーンもなかった。でも、それがよかった。戦場では誰が主役という事もないのだから。

最後に…。本編前のCMでこれまた戦争映画のメル・ギブソン主演の『ワンス&フォーエバー』で家族の為…とかそのような決死の覚悟で戦っているのは敵も同じ事。という事を言っていたが、それを鑑賞…“体感”しながらずっと考えていた。また、涙が出てきた。ああ…戦争はいけない。マジで……。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)わっこ[*] 死ぬまでシネマ[*] ゼロゼロUFO[*] ひゅ〜む mal[*] アルシュ[*] BRAVO30000W![*]

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