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[コメント] 映画 ドラえもん のび太の恐竜2006(2006/日)

フンッ……、結構泣けるじゃないの!……いや、すいません、大号泣しました。久しぶりに迷わず★5をつけさせて頂きます。以下、語り→
ミュージカラー★梨音令嬢

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ドラえもんの声優が一新されて初めての映画。ドラえもんの声優が変わることについては、確かに寂しくもあったけど、ドラえもん自体に並外れて特別な感情を持っていない私にとっては「あぁ、これが時代なのね」という感じで許容範囲。ただ、映像がキレイになったり、ドラえもんが結構役立たずになってたり、しずかちゃんが現代的な強い女性になっていたり、あのお馴染みの主題歌がなくなってしまった事は、声が変わった以上に、幼い頃から慣れ親しんだ経験のある者にとっては寂しく感じたのも確か。

ドラえもんの声や演出が変わった事には、少なからず……いや、多からずか?賛否両論はあったと思うが、私はそういう人にこそ、この映画を見て欲しいと強く感じる。

自分は前作の『のび太の恐竜』は未見であるが、どの作品を見ても、ドラえもんの映画のメッセージは例えば、仲間に対する信頼や思いやり、臆する事無く立ち向かう勇気や、扱う題材によっては命の大切さであったり、テーマとしてはごく当たり前なものだと思うのだが、その“ごく当たり前”なテーマの“心”を見失っていた最近のドラえもんの映画にはなかったものが確実にここにはあったと思う。むしろ、それ以前のものと比べても決して見劣りはしないのではないかと私は思った。

それはドラえもんが“現代的”になった故に、現代人である私がそう思うだけなのかもしれないが……。

いやしかし、私は焚き火の前でピー助を黒マスク達に渡すか否かを真剣にぶつかり合う姿を見て、正直目からウロコが落ちたような気分がした。そう、これこそが、最近のドラえもんの映画に欠けていた“心”だと感じたからだ。これが新シリーズで1番最初の映画になるからなのかもしれないのだが、もうドラえもんにとっては、「映画になると、のび太は勇ましくなり、ジャイアンは優しくなる」というのが周知の事実になってしまい、周囲の人物もその方程式に乗っかり、そこへ至る心の動きが大幅に欠落していたと思う。

ジャイアンにはいじめていたのび太に“助けられた”という事の感動や喜びがあり、のび太にはピー助を何としても届けねばならぬという使命感や 親心という後ろ盾がある。しずかちゃんにしたって、現代的でドライである彼女なりの心の動きがあり、スネ夫には早く帰りたいという思いから、皆で旅をする事を決断するに当たっては、自分の弱い部分と向き合うという彼のドラマがある。それぞれがそれぞれの役割に至るまでには、当然ながらにドラマがあるのだ。

焚き火のシーンでの、皆のぶつかり合いや思いの交錯の製作者の見つめ方は、彼らの真剣なディスカッションぐらい真摯な眼差しであったと思う。

更に、タケコプターで恐竜の世界を見渡す時のその感動。その新鮮さにも改めて驚かされる。

ピー助とのび太の別れのシーンは、シーンのみ切り取ればあざとく感じるかもしれないが、そこへ至る布石が描かれているが故(当然っちゃ当然なんだが)、非常に意味のあるものになったと思う。皆がのび太とピー助の別れを見守りながら、同じくらい涙を流す熱さは、製作陣の熱さそのものであり、その瞬間まで、共に冒険してきた観客の熱さであり、それが自然と判るから心打たれて涙が出た。

そして私は、隣にいたドラえもん好きで、新声優否定派だった友人の鼻のすする音を聞き、この映画の与えた力を感じて更に泣いた。

スキマスイッチの歌も素直で良かった。もう二度と吉川ひなのやSPEEDのようなアーティストは使わずにいて欲しいと願いたい。

結局当然な言い分の羅列になってしまったが、とにかく言いたい事は「良い映画見たな!スゲー泣いたな!」という事だ(笑)。

次回作もこのモチベーションを維持するのは大変とは思うが、新声優以下スタッフには是非頑張ってもらいたいと思う。とりあえず、大事な時期を乗り越えられておめでとうと言いたい。あと、素敵な映画を有難うとね!!(笑)

長々と失礼致しました。読んで下さった方、最後まで有難うございました。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)SUM[*] トシ 4分33秒 ダリア[*]

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