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[コメント] サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2001/日)

「おばあちゃん子の心優しい普通の青年の、ちょっと泣ける話」?ちがうちがう、これは"サトラレ"の話でしょう?
すわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







好きな人に振り向いてもらえない、あの胸をしめつけるような苦しさ、切なさ。大切な人がこの世を去ってしまった時の、もっと優しくしてあげればよかった、もっとああすればよかったこうすればよかったと止めどなく溢れる後悔の念と、寂しさ、悲しさ、空しさ、苦しさ、涙、涙、涙……

それは誰にでもありえることであって、サトラレであることは関係ない。誰にでもありえるから観客も共感して、一緒に泣いてしまうのである。そして、青年の純粋な心に触れ、自分まで純粋な気持ちになって、さらに泣いてしまうのもわかる。私だってたくさん泣いた。私だって人間です。

でもこの映画は、「おばあちゃん子の心優しい普通の青年の、ちょっと泣ける話」じゃなくて、あくまでも"サトラレ"の話のはず。

"サトラレ"という特殊な設定がありながら、いつのまにかそれが焦点からずれ、ただの感動の材料になってしまっていたように思える。それがすごく残念。もっともっと膨らませてほしかった。精神科医という特別な職業の人の視点で描くばかりじゃなく、日常的にサトラレを取り巻いてる人々の心の葛藤をもっと丁寧に描いてほしかった。彼らの心はもっと複雑なはずだし、いくらサトラレが純粋で心の優しい青年だからって納得できることばかりじゃないだろうし、不条理なこともたくさんあるだろうし…。一番重要でかつ難しいのが、「周りの人の理解」であって、それは、サトラレの純粋さや人の良さだけで得られるものではないはず。"サトラレ"というあまりにも悲劇的で残酷なものを題材にしたわりには、映画自体が優しすぎたし、甘すぎたように思う。残念。

(評価:★3)

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