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[コメント] レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで(2008/米)

結婚までは美しい。それなのに結婚生活はそうはいかないのか? 色々な問いの中でこの映画は確実に答える。 
のこのこ

★一つ以外のレビューは控えていたがこの作品はあまりに思いがこみ上げたので書きたい。

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夫婦の幸せを装うのも地獄。

本音で夫婦で争い続けるのも地獄。

黙っていればいい真実を打ち明けあい傷を深めるのも地獄

少々の偽りに目をつぶり、そこそこ最低限の会話でこなすのが夫婦生活。

でもこの夫婦は最初からあるはずの妥協がない。 

自分の叶えられなかった夢を子供に託すこともしない。 ありがちなことをしない。

生きている自分の生の中で全てを解決しようとする。 

答えはパリに行くことかもしれないし、全てを捨てて新天地を目指すのもいい。

結婚制度の不完全さを思い知ったが最後。こうなるのは必然のように思える。

ベルイマンの『ある結婚の風景』以降、本気の夫婦喧嘩映画はなかった。 シリアスに突き詰めた作品は製作されなかった。 

地球上の誰もが秘密にしたいことの一つはハッピーエンディングのその後なんだろう。 なんせ今やどの国でも離婚は当たり前のことだからだ。 

なぜ? 人間というのはひょっとしたら過去から学ばない愚かなアニマルなんだろう、特に男と女の関係に関しては。 

シルヴィア・プラスの1960年に書かれた「自殺志願/The Bell Jar」を思い出したし、ジュリアン・ムーア演じる『エデンより彼方に』や『めぐりあう時間たち』の50年代主婦も思い出された。 抑圧されて悲鳴を上げる中流階級の主婦たち。 

子持ちの女は例え20代でも正社員として働く道は閉ざされ、夫婦の中で2極化してしまった社会の縮図のようだ。 夫は勝ち組で妻は負け組。 それでは今まで蓄えてきた平等とやらは一体何になる? 何不自由のない生活、それこそ蟻地獄。 いったんはまるともう抜け出せない。  

半世紀前に書かれた小説なのにまったく今とは変らない主婦の生き方、そして精神統合症患者へのECT治療(今も精神医療界ではバンバンやっています)、何も変っていない。 私たちは学んで進化する神の作った創造物じゃないの?

私はこの小説のような現実がある限り子供は・・・持たなくて良かったと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Ryu-Zen Keita[*] ぽんしゅう[*] カルヤ[*]

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