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[コメント] 卒業(2002/日)

「永遠だよ…。」 これは文句なしの傑作。静謐な空間に、心の中の言葉が、雪のように舞い、降り積もっていく。静けさの中に広がる、ふたりの想いは、沈黙の長い空白を埋めるかのように、育まれていく。堤真一の自信なさそうな顔が、驚くほどに様になり、内山理名の表情は、語りつくせない想いが凝縮されている。彼女のラストシーンの表情は忘れられない。しかし、とんでもない鈍感な、勘違いをしていた…。
ことは

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いや、本当にお恥ずかしい限りで、言葉もないのですが、正直に申し上げれば、堤真一内山理名が、「父と娘」である、というのを結局最後まで、気づきませんでした。

ビデオが終わって、メイキングの映像が流れ、内山理名のインタビューで、「父の……」と言っているのを聞いて、「うん……?父…?」「え?堤真一は父親だったの?」とようやく気がついた次第です…。

つまり、これ、父と娘の物語でもあるのですが、それに全く気がつかづに、最後まで鑑賞してしまった、オオバカヤロウということになるわけです。

うーん、言葉もありません。 正直、内山理名は何者なんだ?と思いながら見ていました。

ただ単に、堤真一のことを、密かにずっと好きで、見つめていて、それで彼のことが好きだから、近づいていったのか、くらいにしか考えませんでした。

だから、堤真一夏川結衣との仲を、取り持つような発言を、最後の方にするわけですが、何でそんなことするの?とびっくりしました。その発言にこそ、堤真一内山理名が「父と娘」である、という「告白」がなされているというのに!です。

観ている方は、夏川結衣よりも、内山理名に肩入れしているわけですから、堤真一夏川結衣に再び向かっていくのに、「悔しさ」さえ感じました。 堤真一内山理名が、最後は結ばれなければいけない、と勝手に思い込んでいるわけです。

要は、堤真一夏川結衣内山理名の三角関係を想定していたということです。

本当に我ながら、「オオバカヤロウ」です。

最後の方、内山理名は手紙を書きます。そして名前のところに「吉田弥生」と。そう、堤真一が長年コツコツと「吉田弥生」名義で貯金していた、あの名前を。 「吉田弥生」って誰なんだ?と。堤真一の別れた妻かと思いました。しかし、年齢が、堤真一内山理名が夫婦では、合わないなあ、と考えていました。しかし、もしふたりが夫婦だったら、堤真一が気づかないはずがない。

本当に「オオバカヤロウ」です。我ながら「いい加減、気づけよ!」と思います。

こんな勘違いをしていながら、「文句なしの傑作」などという資格があるのかな、と不安になってきました。

とにかく、これはもう一度、絶対、何が何でも見なくてはいけません。 「父と娘」という前提で、この映画を観れば、特に、内山理名の気持ちを、場面場面、味わいながら鑑賞できるはずです。

本当に我ながら恥ずかしいことです。予告の映像にも「父と娘」とちゃんと帯が入っているというのに…。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)tkcrows[*] ゆーこ and One thing[*] セント[*]

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