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[コメント] 藍色夏恋(2002/台湾=仏)

鑑賞後すぐの印象は、春の爽やかな風のように、心地よく「さらりと」し過ぎて、あまり残るものがなかった。けれど、時間が経った今、この映画を思い返すと、清純な雫が、心の襞にぽたぽたと溜まって、蒸せるような「情熱」を感じるから不思議だ。いくつもの場面が甦ってきて、息苦しくなる程。綻びは処々ある。けれど、すべては「青春の渦巻き」にかき消されてしまう。間違いなく好きな作品だ。
ことは

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずは、何といっても、タイトルが素敵です。これだけでもう、甘酸っぱい気持ちに包まれてしまうような、爽やかなタイトルです。

そして、この映画の爽やかさは、何といってもチェン・ボーリンの容姿によるところが大きいと思いました。正直、こんなに爽やかでかっこいい青年は「ミスキャストだ!」と見た瞬間、心の中心で、叫んでいました。これは場違いだろう、と。でも、彼には怒ったり批判したりする理由もまた、全く見つからないので、「場違い」でも、許せます。

物語の突然の変調である、グイ・ルンメイの「告白」には、驚きました。 予備知識がなかったので、三角関係の爽やか系恋愛ものか? なんて、のん気に構えて観ていたところに、あの「告白」です。椅子からずるっ…と滑り落ちる感覚です。「え?そうくるの?」と。ま、三角関係には違いないのですが、この展開は、全くの想定外で した。

個人的にはグイ・ルンメイのボーイッシュすぎる容姿には、ちょっとなじめないところがあり、むしろリャン・シューホイの方が、好みといえば、好みでした。 いや、そんなことはどうでもいいわけですが、今思い返すと、グイ・ルンメイの容姿も、この映画にははまり過ぎているほどはまり過ぎた、彼女にしか出来ない、役であったと思います。そして今では、彼女の容姿も実にかわいらしく微笑ましく感じています。

タイトルから物語、登場人物たち、すべてが「爽やかさ」に満ちた、実に心地いい映画であり、時間が経つごとに「熟成」されて、味わいが増してくる、そんな作品です。

これを書き始めたときには、4点をつけていたのですが、こうして映画のことを思い出しながら書いていたら、どうにもこうにも抑え切れなくなって、5点に変更してしまいました。そういう訳で、作品の純粋な評価というよりは、自分の「妄想」がかなり加わった、思い入れ度の高い作品となりました。

(評価:★5)

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